君の心が読めない【まふまふ】

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後、今回は少しピンクです。苦手な方はご閲覧をお控えください。
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『ちょっ、なにしてっ……』



相川は何も言わず私の指と舌を絡めてきた。
くすぐったくて、焦れったくて居心地が悪い。
時々当たる柔らかい唇は熱を帯びていた。

私は知らない何かがぐっと溢れてくるのを恐れて、指を引っこ抜こうとした。
しかひ、彼は私の手をつかんで、唾液を絡めてくる。



『んっ、……あいかっ、……』


なんで私の指を舐めるんだ。
バームクーヘンを食べろと私は言ったんだ。
だけど、不快感はない。
その逆だ。心臓が脈打って、相川の吐息が聞こえて変な気分になる。
そしてやっと、相川は指を離してくれた。



「ん、あまい」

『あ、あんたっ！なんでこんなっ……！』





咄嗟に出てきたのは、恥ずかしさだった。
言わずもがな、羞恥心である。
相川がいった甘い、が私の指かバームクーヘンか見分けがつかなくなるくらい頭は真っ白となっている。



『変態っ！指なめるとか……！』

「そのわりには満更でもなさそうな顔してたよね」

『う、うるさいっ！』



ムカつく。ムカつく。
相川もムカつく。こんなやつにドキドキしてる私もムカつく。
相川の考えが読めないのもムカつく。


どうしてこんなに私に執着してくるんだ。




『……で、バームクーヘン美味しかったでしょ？』

「……うん、Aのゆ」

『それはもういいの！』



私の指、と言おうとした相川を咄嗟に遮る。
思い出すだけで恥ずかしい。
話題からそらそうと思った。




「……でも、Aの手作り食べたかった」

『な、なによ急に……』




寂しげに、ポツンとそう呟く。
顔はいつも無表情の相川だが、声色にはきちんと感情をのせている。

いやまあ、私の手作りの料理食べたい、って思われる分には嬉しいよ？うん。素直にそう思う。
だけどさ？








私、料理苦手なんだよね。
いや、女子力のポイントは大体できない。
料理や裁縫やお洒落。さすがに洗濯や掃除は一般的なものならできる。でもそこまで凝ってない。否、ずぼらだから部屋の片付けなんてほとんどしない。散らかってる。


あまって、思い出してきたらなんか胸が……。
あ、そうだ私の胸も……。





『喧嘩売っとんのかてめえ！！』

「いや、売ってないけど」






その声にハッ、と我に帰った。
沈黙の空間が続く。
……が、それを破ったのは他でもない学校のチャイムだった。

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