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7話 ページ8

こくりと小さく頷きだけで返せば、嬉しそうなAが懐から小さな巻物を取り出し上へ投げて片手で印を結ぶ。
宙で開いた巻物が煙を上げて消えれば、上から落ちてきたのは小さな包だ。
感心しながら動きを見守り、「口寄せの術か」と呟けばAは自信満々に返した。

「分かんない!」
「…そうか。それは口寄せの術っていうんだ…それも習ったのか?」
「ううんっ、おとうさんの絵本をマネしただけ!これねっ、べんり!」

忘れ物した時に、と続けられた内容に使い方間違ってるとは言わないでいた。
開けられた包の中には見事な団子が数本並んでおり、1本を手にとって渡される。
いただきますとお互いに言い合って、口にすれば甘みが広がって「!」となった。
こんな美味しいものがあったのか、と。

「美味しい…」
「でしょう?お団子が一番おいしい!元気でるよね!」
「…ああ」

つられて口端が緩んだのは、イタチ自身にも分かった。
隣ではご機嫌に団子を頬張るAがいて今度ははっきりと笑んだ。
それから、ふと冷静に考えて最後のお団子を飲み込みつつ聞く。

「これは家の団子か?」
「うん!おとうさんがおかあさんにナイショで隠してたやつ!」
「……」

次に浮かべたのは何とも言えない表情だったかもしれない。
Aの様子が無邪気で他意がないだけに余計。
ちょっと心の中で、Aの父とやらに謝りつつ団子は綺麗に完食してしまうのであった。

後日、イタチの好物が団子といった甘味になった事に驚くフガク。
食べ物が度々無くなる事を不思議に思うミナトとクシナだった。

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作者ホームページ:http://なし  作成日時:2017年6月17日 0時

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