39話 ページ40
喜び全開な明るいクシナに対し、ミコトは静かで穏やかな雰囲気で応える。
落ち着いている端正な顔立ちに不思議な既視感を覚えて瞬いていると、視線に気づいたミコトと目が合った。
あら、と微笑む雰囲気が更に優しくなる。
「この子、クシナの子?お名前は何ていうのかしら」
「Aです、初めまして!」
「!、Aちゃん。私はミコトよ、うちはミコト。よろしくね」
ミコトが、頷いたクシナからAに問いかけてきたのでペコリとお辞儀して笑って返事をする。
「とっても可愛い子じゃない!」とすぐにクシナに返した辺り、悪くない印象だったようであった。
「でしょう!?私の自慢の娘だってばね!」
「女の子も良いわよねぇ…家は息子なの、ちょうど同じ年頃よ」
「そうなの?どんな子!?」
年の割に妙に大人びてしっかりした子なんだけど、と我が子の事を語るミコトの言は苦笑に近い。
息子と聞いてワクワクして聞いているクシナから身を動かして、建物へと振り返る。
ちょうど時間を置いて門の後ろから足音が聞こえてきたからでもあって。
「母さん」と短い呼び声と共に歩いてきた少年はミコトに似た面影だったため、すぐにこの子なのだと分かった。
「ミコト似のカッコイイ子じゃない!」
「息子のイタチよ。イタチ、こちらは母さんの友人のクシナ」
「…初めまして」
チラリと横へ逸らされていた視線は母の声で隣のクシナへと戻される。
「初めまして、よろしくってばね!」と、遠慮がちに伸ばされたイタチの小さな手をとって握手するクシナの態度は真逆だ。
それが可笑しくて横で見ていたミコトは苦笑しつつ、Aを紹介しようとして驚いた。
キョトンと瞬いた瞳は見慣れた人物に向けられる表情になったから。
「イタチ!」と手を上げて嬉しそうに挨拶する様に、一目で知り合いなのだと伝わった。
「あら」
「あ!!そう言えば、Aの話してたイタチくんって!」
目を丸くしてそれぞれ我が子を見比べて、互いに顔を見合わせる母2人。
そんな様子も気にせず、向かい合うAとイタチは互いに知れる笑みを浮かべ合っていた。
「それにしても驚いたわぁ、あの子の話した“1番のお友達”がまさかミコトの息子だったなんて」
「私こそあんな息子は初めて見たわよ…あの子、そんな事1度も話した事なかったから」
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作者ホームページ:http://なし 作成日時:2017年6月17日 0時