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14話 ページ15

水面から地へと歩いてきたイタチは無表情のまま佇んでいる。
その気配に気がついた自来也が聞くと、Aが素直に答えた。
ふむと顎に手をあててじぃーと上から下まで眺め見る行動の意図はイタチにも伝わった。
品定めされているのだ、と普通なら嫌な気を抱くものだが。
一重にAに悪い虫をつけてなるものか!な親心が含まれているまでは読みきれずではある。
しかし、イタチの意識はそちらよりもAの発した言葉にいっていた。

「…オレが友達?」
「ん!イタチは私の一番の友だちだよ」
「……そうか」

感情をあまり出さない大人びた表情は、Aの返しで力が抜かれ穏やかになる。
抵抗なく頷き返される雰囲気は優しいものである事に自来也は苦笑して品定めを止める。
たったこのやり取りだけで、この2人の仲の良さは伝わるから。
Aから自来也へ視線を戻したイタチは小さくお辞儀をして挨拶した。

「うちはイタチです。初めまして」
「うちはの子か…Aと同じくらいか?その様子ならわしを知っておるな!」
「はい…木の葉の伝説、三忍のお1人ですよね…父に聞いた事があります」
「そうとも!あいや、北へ南に西東流離うは三忍の白髪童子、蝦蟇使い!自来也様たぁわしの事よ!」

ババン!と効果音を響かせて歌舞伎調で決めポーズをする。
Aは駆けてイタチの元へと戻ると振り返った。
そんな横で冷静に瞬くだけを返すイタチのテンションの低さに自来也は「…」と半目になってしまった。

「お前、子供の癖にノリが悪いのう…」
「自来也さま?せんせーじゃなくてさまの方が良い?」
「いや、Aはそのままで良いって!変に考えるんじゃないぞ?」
「ん!」

首を傾げていたAだったが、自来也が慌てて訂正した事で頷いて納得する。
再び瞬いたイタチが温泉の仕切りと自来也を見比べて、「ところで」と切り出した。

「そんな方がこんな所で何を?」
「なに、大人な取材じゃ。お前にはちと早いがのう」
「……」
「しゅざい!」

デへへと顔を緩ませた自来也へ向けるイタチの冷静な瞳の温度が数度下がった。
無邪気に手を上げて繰り返すAへ手をとって引く。
「イタチ?」と聞き返すAを引っ張って数歩下がると顔を向けて真剣に返した。

「行こう、関わらない方が良い」

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作者ホームページ:http://なし  作成日時:2017年6月17日 0時

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