【完結】あのね、ずっと好きでした。【KY】

37話 ページ37

｢ヒトデ触れるの？！｣

入場ゲートのすぐ近くに浅い子供用プールの様な所にヒトデや貝、小魚が泳いでおりなんと触れてしまうコーナーらしい。

｢触る…？キヨ｣
｢お前は？｣

遥さんは嫌そうに首を振っている。
苦手なのかな。
キヨ兄ちゃんはじゃあ俺もいいって離れようとしてる。けどあれはめっちゃ名残惜しい時にする顔で少し拗ねてるめんどくさい顔だ。
仕方ないなぁ。

｢私触りたい！｣

と、小走りで触れ合いコーナーへとかけよる。
水が冷たくて気持ちいい。
赤色の綺麗なヒトデをそっと手に乗せ、水から出さず3人に見せる。

｢みてみて綺麗！あっキヨ兄ちゃんめっちゃでかいヒトデいる！取って！Go！！｣
｢あ？どこだよ！｣

キヨ兄ちゃんは私の指さす方向へと足を進め、長袖を肘まで捲り上げると水の中に手を突っ込んだ。

｢えーやだぁぶよぶよしてるー｣
｢JKかよ。俺もでっかいの取りてぇ｣

ヒトデを触るとJKになってしまったキヨ兄ちゃんと、私達の後に続いてヒトデを触りに行くフジさん。よしよしいい感じだ。

｢遥さんあれザリガニかな？｣

と、いうと遥さんは恐る恐る触れ合いコーナーの中を覗き込むと顔を輝かせた。

｢ザリガニ！触れる！！｣

と、遥さんも腕まくりして勢いよく水の中に手を突っ込んでいった。
よかった。1人だけ触れないのも寂しいもんね。
これから遥さんがお姉ちゃんになるんだから仲良くしないとダメだよね。

ぼーっとゆらゆら動く水面をみてると、人影が私に近づいた。
顔を上げたと同時にその人は私の隣に同じようにしゃがみ、とんでもなくでかいヒトデを見せてきた。

｢おら見てみろA。ここの主だぞ！｣
｢うわでっかぁ！！｣

思わずその人の顔をみると、ドヤ顔で褒めて欲しそうなキヨ兄ちゃんがいた。

｢すごいすごい！よく捕まえたね！｣
｢岩場に隠れてやがったんだよ。まあ俺に見つかったのが運の尽きだな！！｣

といったキヨ兄ちゃんの背後にゆらりと揺れる人影。
人影はキヨ兄ちゃんの腕に海藻を投げつけた。

｢何よもう！！冷たいじゃないの！！｣

海藻を投げつけたフジさんは爆笑している。釣られて私も笑うとキヨ兄ちゃんも笑ってくれた。
ヒトデ達に別れを告げて次のコーナーへと足先を向かわせる。
冷えた指を擦ると横から伸びてくる大きい手。

｢ほら、体温分けてやる｣

と、キヨ兄ちゃんが手を包み込んでくれた。
ありがとう、とお礼をいうとぶっきらぼうにおうと返ってきた。
こういう所だよ…。

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