【オリオンの刻印】日本の女神？元通り魔ですが (ページ38)

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第33人目 EMPIRE(上) ページ38

後半戦、開始。

フィールドに皇帝の指揮が飛び交う。
「万作君、岩戸君は左右にポジション別れて！」
DFを左右に動かした。
これ、罠だ
「左右を厚くしたか……なら正面突破と行かせてもらおう！」
予想通り。
しかし野坂は颯爽とアナハンを抜いた。
「何ッ！？」
「野獣の扱いには慣れてるからね」

「中盤5人は紡錘陣形！
中央突破で反撃と行こう！」

MF5人はドリル状に移動＿＿いや、4人。
一星は案の定別の動きをとっていた。
妨害に走るのは当たり前だけど、どうする？

「必殺タクティクス王者のタクト！」

おお。
タクティクスで一星を強制的に動かしたのか。
目を見張る一星。
「こんな使い方もあるんだ……」
そしてボールはFWに移った。
「「ペンギン・ザ・ゴット&デビル！！」」
「忘却のソナタッ！
くっ……1オクターブ高い！」
バギュンンッ！！

「ゴール！！日本ここから巻き返しだ！」

試合再開。

「野坂さん！」
一星がボールを渡した。
一瞬、ニヤついた気がしたがね。
あっ。
それを待ち構えてたかのように敵が襲いかかった＿＿＿＿はずだった。

野坂は軽々と、華麗に躱し走った。
敵を鮮やかに避けて空中を舞う。
動きがとても速い。
「……芸術の領域」
FFの頃からそのプレーは素晴らしいものだった。
だがテレビで見たあの姿は、なんかこう……計算されてるようなプレーだった。
今この場に存在する彼のプレーは以前と全く違う。
いわばそれは、オーケストラの指揮者。
一対のガラスの目がゴールを鋭く強く狙う。

「月光丸・燕返し！」

閃光はネットを大きく揺らした。

クソッ！！
こんな短時間に2点も……！
俺のシナリオが完全に崩れた。
野坂悠馬の登場でここまで追い込まれてしまった＿＿＿＿
いや待て。
つまり、日本は野坂悠馬一人によってやっと戦えているということ。
奴さえいなければさっきのような目も当てられない状態に逆戻り。
だがどうやって？

「我々は他のメンバーから潰す。しかし、」
後ろから声がする。
「ああ、本命は野坂悠馬だ」
集団で野坂単体を狙う。
卑怯か？そんなことはないだろう？
……そんなこと、ないだろう。
「さながら？共同戦線、といったところか」
「敵同士のな」

ああ、そういうことか。
まっそんぐらいは普通するよね
「ねぇ監督、あの審判グルです」