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忌み地に入る。
いつ来ても、"清い"。
清いなら、忌み地ではないと思うだろう。
しかし、清いのは地だけで、空気や雰囲気は忌み地そのものである。
そして。
ちらちらと視界に入る異質な物。
これが、忌み地と言われている一番の理由である。
例えば、そこにある『コトリバコ』。
鋏で触る。
『ハッカイ』か。
助からないかもしれない。
ただ、この鋏があれば別である。
この鋏は、自分が害だと思うものを切りつけてくれる。
怪異だって、切りつける。
そうして、忌み地をぬける。
見える、配達屋の大旗。
「頼もう！この手紙を、届けてほしい。」
『また、あんさんか。届けてやろう。』
「頼んだ。」
帰りは、とても楽である。
『ここまで大変だったろう？帰りは、送ってやる。』
「嗚呼、頼む。」
『その前に、休んでからな。』
お茶を淹れてもらう。
「ありがとう。」
『あと、何年だ？』
「1年もないよ。4ヶ月と少しさ。」
『・・・そうか・・・悪いこと、聞いたな。』
「大丈夫。」
帰りは、一瞬だった。
家の前で、延命が待っていた。
説教確定である。
「・・・遠出はしないでと言いました。遠出は頼めと言いました。」
「どうしてですか。私の何が、どこがだめなんですか。教えてください。」
「どこも、悪くないよ。どこも、だめじゃないよ。」
「なら、どうして、頼らないんですか・・・。」
「心配、かけたくなくて。」
「傷・・・包帯巻きますね。」
「嗚呼。そうしてもらえると嬉しいよ。」
家に強引に入れられる。
光を纏う彼岸花を見る。
まだ、纏っている。
「凄く、奇麗ですね。」
「だよね。特別な力も感じるし、何か、あるのかな。」
「ねぇ、後で。」
「？」
「僕が手紙書いてるとこ、見る？」
「みたいです！」
なら、早く、その包帯を巻いておくれ。
その、黒い包帯を。
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