2章8話「誕生日プレゼント(1)」 ページ9
ラズル「どこにあるんだろうな。誕生日プレゼント。」
ライカ「レチェラさんに渡せたらなんとかなりそうな気がする。」
ラズル「…探すぞ。」
ライカ「わかった。」
ラズル「ライカは向こうの彫像を調べて。俺はこっちの彫像を調べる。」
ライカ「わかった。」
ライカは彫像の方へと走って行った__
ライカ(…他の彫像には無いものを探せばいいのか?どうやって探すのかを聞けばよかったな。)
ラズル「……。」
ラズル「………。」
ラズル「………………。」
どの彫像も
どの場所にも
__何もない。
ラズル「な…いな……。」
ー
レチェラ「……彫刻様。その手は?」
ラズル(………手?)
レチェラがいる方向を見るが、彫像が邪魔をして全く見えない
ラズル(…………見えないな。)
レチェラ「………僕に、渡したいものでも?」
ラズルは直感で誕生日プレゼントの事を言っている事に気付いた
ーー
レチェラ「………増えた。」
レチェラの背後に彫像が1つ。
気付けば増えていた。
レチェラ「…………護ってくれるんだ。」
レチェラ「僕の背中を護ってくれるのは……僕が背中から首を斬られたから?」
レチェラ「…。」
ーー
彫刻「ね、ね。プレゼント、一緒に渡しに行かない?」
■■「………う、あ゙…ぁ……。」
彫刻「きっと喜んでくれるよ。」
■■「……お…さ…………。」
彫刻「もう話せるようになったの!?」
彫刻(この前までは話せなかったのに……早いなぁ…。)
焦げ焼けた匂いに鼻を刺激され、空を見る
彫刻「あ………………。」
■■「?」
彫刻「………あそこ、燃えてる。」
小さな彼と一緒に眺めた、焦げた建物。そして暗く染まる空。
■■「………う…。」
彫刻「…………騎士様…大丈夫かな…。」
■■「………。」
小さな彼は僕の後ろに隠れて景色を見なくなった
ーーー
彫刻「………入れる墓もないよ。」
彫刻「どうしてあげたらいいのかな。」
彼は何も言わない。
僕達の姿を見つけて、僕達と一緒に帰って、気付けば後ろから斬り落とされた騎士様。
騎士様も、僕達も気付かなかった。
家に帰って…騎士様が部屋から出てこなくて……やっと気付いたんだ。
彫刻「………騎士様。僕達寂しいよ。」
■■「ぅ゙…あ……あァ゙…………!」
僕がそう言った後、彼はやっと現実を見始めたらしく、泣いた。
騎士様も、僕も今まで彼の涙を見たことはなかった。
■■「………ぅ゙…。」
彫刻「泣かないで……大丈夫…大丈夫だから………。」
彫刻(……騎士様なら、多分__)
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