小話「孤独を生きる処刑人」 ページ19
早朝。あまりの寒さに目を覚ます
ボロボロに縫い合わされた布団を退け、脚が折れて斜めに傾いたベッドから床へと足をつける
「………。」
仕事服を着る
家のドアを開け、寒い風を感じながら地の雪をかき分ける
最初に見えた林檎が今日の朝食だ
焼けた鉄の靴の履き心地が悪かったので家の中で履き直し、もう一度外へと出て燃やせそうな枝を探す
ー
今にも壊れそうな暖炉に見つけた枝を入れ、石炭と火打ち石を叩き擦り、火の気がしたところで投げ入れる
「………。」
まだ火はつかない
ー
水という便利な物はないので、火がついたときに溶かせるように穴が空いたバケツに雪を入れる
…バケツに空いた穴のところには何度も直した跡がある
家の中に戻り、やっとついた火の前にバケツを置く
…溶けるまで、する事はないかもしれない。
ーーー
朝食の雪林檎を食べながら今日の仕事を確認する
近々、最近現れた来訪者を試す(どちらかというと喧嘩を売る、の方が正しい)らしいが興味はない(争いに価値を見出していない)ので参加を拒否しておく
※錦と■■は別件だった筈なのに巻き込まれました
※これは創造神に内緒でしています。つまりクソ。
仕事の内容は昨日の夜のうちに伝達係が紙を届けてくれるのでなんとかわかる。
(※伝達係が帰り際に石が入った雪玉を投げてきたが気にせず身体で受けたのは別の話)
ここには(伝達係以外)誰も来ないので楽でいい、と思いながら紙を読み終える
※仲良くなりたい処刑人達がたまに様子を見に来ています。本人が知らないだけです。
………………………??
………よく見ると、昨日はなかった筈の紙がくっついている
誰からの物かはわからないが、達筆だ。字が書けないので少し羨ましい、と思ったが気にしないでおく。
『雪の地の処刑人様へ
処刑人が創造神様に無断で事を起こそうとしています。掃除を頼んでもいいですか?』
自分にぴったりな仕事が来た。伝達係からの仕事は放っておいてもいいのかもしれない。
※争い事に巻き込まれそうな事しか書いてなかった
………よし。この場所から出て掃除をしに行こう。
のんびりと家から出て、焦げ臭い足跡を残しながらゆっくり歩く
途中、目の前に生えていた邪魔な桜を引きずっていた鉈で切り落とした。
___あ、処刑人だった。まぁいっか。
2章16話「ここが色鮮やかな世界だったら(1)」→←おまけ「この親子のメールの内容」
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