４モチ ページ5
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なんであんなに眉間にしわが寄っているんだろう、と彼のおでこを見つめる。
彼はお皿に目をやったまま静かにつぶやいた。
「お前、名前は？」
「なまえ？」
うーん、初対面の人に教えていいんだろうか。
いや、でもカタクリさんは教えてくれたしいいか。
「市ノ瀬Aです。」
名前を言うと、彼は顔をあげてこちらを向いた。
そして、今日一番優しい雰囲気をだして。
「Aか、礼を言う。」
よほど羊羹がおいしかったらしい。
お菓子のおかげでこの強面さんと打ち解けられた気がする。
でも、いきなり下の名前で呼ばれるとは。
しかも呼び捨て。
なんだか恥ずかしい。
少し火照った顔を隠すために、下を向いた。
「どういたしまして。」
彼に緑茶を渡して(今度はちゃんと受け取ってもらえた)
時計を見る。短い針が８を指していた。
４０分くらいはたったんじゃないかな。
そう思っていると、いきなり警備員室のドアがドンッと開かれる。
現れたのはナカムラさん。
と、警察の二人組。
「おまわりさん、連れてきました！」
ナカムラさんは肩で息をしながら、あの男ですと警察の方々に言っている。
一方カタクリさんは警察を一瞥すると、興味なさそうに顔を背けた。
また、最初のようなこわばった表情をしている。
なぜだか、彼のその表情を見ると放っておけない気持ちになった。
そう思ったとたん、口から言葉が飛び出す。
「あの、この人、私の知り合いでした！」
近づく警察に自分でもありえないと思うような嘘をついた。
ナカムラさんもそんなまさか、というような表情をしている。
それでもいったん言い出した嘘はとめられない。
身振り手振りでなんとか言葉を継ぎたす。
「えっと、遠い親戚らしくて、ですね。」
警察の人はやれやれ、と言った感じで確認するようにカタクリさんに目をやった。
おねがい、カタクリさん
どうかうまく嘘を。
そう心で懇願しながら同じように彼に目をやる。
するとカタクリさんはため息を１つはくとこちらには目もくれないで言った。
「俺は、Aに会いに来た。」
彼の言葉に警察も信用したらしく、不審者じゃなくてよかったですね、と去っていった。
ナカムラさんは仕事の続きか見回りのために部屋からでていく。
また二人きり。
沈黙にたえられなくなった私は苦笑いを浮かべるしかない。
「あはは。とりあえず、帰りましょうか。」
もちろん、彼を連れて。
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なのこ(プロフ) - yuka390822さん» 感激していただけるなんて、光栄です！コメントありがとうございます！ (2018年6月12日 21時) (
レス) id: 5816d88e2f (このIDを非表示/違反報告)
yuka390822(プロフ) - 感激号(┳◇┳)泣 (2018年6月12日 16時) (レス) id: 967b96f7da (このIDを非表示/違反報告)
なのこ(プロフ) - 露木さん» コメントありがとうございます！そんなふうに言っていただけるととても嬉しいです！これからも暖かい話を書けるようにがんばります！ (2018年6月12日 7時) (レス) id: b4745be509 (このIDを非表示/違反報告)
露木(プロフ) - カタクリさんの逆トリだー！やったー！とはしゃいでしまいました…！思わずにこにこしてしまうような温かいお話で、続きがとっても楽しみです！ (2018年6月11日 21時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
なのこ(プロフ) - あすこここさん» 初コメにとても感動しています！ありがとうございます！カタクリ様には少しトリップの副作用ということで縮んでしまったということにしてしまいました笑 (2018年6月10日 22時) (レス) id: b4745be509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なのこ | 作成日時：2018年6月8日 21時
