イカれた聖職者【文スト】

３．本編 ページ3

今日も気持ちの良い朝を迎えながら、教会の中の祭壇を綺麗に掃除するA。









鼻歌交じりに掃除をしていると、朝早くから来客が訪れる。









『ようこそ、どうぞお掛けになってください』









Aが笑顔でそう云うとその人物はAの手をとり跪いた。









？「嗚呼、美しきシスター。どうか私と今日こそ心中してはくれませんか？」









『太宰様、ご自分のお身体は大事になさってくださいね。









悩みがあるのなら、私はいつでもご相談にのりますよ』









光を放つほどのまばゆい笑みを向けられて、太宰という男性は諦めたようにAの手を離した。









太宰「私の身を按じてくれるのは貴方だけだ……









そうだ、今日はシスターに相談があって来たのだった。危うく忘れるところだったよ」









太宰はそう云うと近くの椅子に腰掛けた。









『本日はどんなご相談でしょうか』









太宰の前に座り笑顔で話を聞くA。









太宰「実は最近、ヨコハマに人食い虎が出るという話を耳にしてね。









いくら捜しても形跡ばかりで肝心の虎が見つからないのだよ。









正直、お手上げ状態で仕事にならなくてねぇ」









『また随分と危険なお仕事を……ですが、太宰様なら大丈夫です。









神も仰っています。貴方の正しき行いが、きっと貴方を導いてくれると』









Aは胸に手を当てながら静かな声でそう云った。









太宰「正しき行い、ね……ありがとうシスター。また来るよ」









『お気を付けてくださいね。神はいつでも貴方を見守っています』









太宰は小さく微笑むと教会を出て行った。

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