痛みを感じない少女【FFI】～Another Story 4～ (ページ28)

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イタリア代表の選手達は予選を通過したことで喜んでいた。

そんな時、スタジアムの外からパトカーの音が聞こえた。

鬼「まさか自分でっ……！」

影「私にとってこれは最後の試合だ。楽しかったよ』

影山はAと有人に向けそう言った。その時有人がゴーグルを外し影山を見つめた。

影「……久しぶりだな。お前の素顔を見るのは」

『貴方がこれを有人に渡した時、何てセンスなんだって正直笑っちゃいましたよ』

Aはその頃を思い出し微笑んだ。

影「お前には、もう必要ないな」

鬼「いえ、これからも使わせてもらいます。これは俺のトレードマークですから」

影「フッ、ならAにはこれを返そう」

影山の手には、Aが帝国時代に付けていた生徒会長の腕章が握られていた。

『……ずっと持っててくれたんですか？』

影「お前は、私の右腕だからな」

Aは影山からその腕章を受け取り腕につけた。影山はそんなAを見て小さく微笑んだ。

警察「ミスターK、いや、影山零治。傷害罪及び国外逃亡の容疑で逮捕する」

逮捕状を突きつけられ、影山はそのまま連行されていく。

そんな時、Aが急に走り出し影山を追いかけた。

『総帥！』

影山が振り返ると、そこには今まで見たこともないような顔をしたAがそこにいた。

Aはそっと影山に近づいていく。その顔は今にも泣き出しそうな顔をしていた。

影「フッ、情けない顔をするようになったな。ポーカーフェイスが基本だと教えただろう」

『……行ってしまわれるんですね総帥』

影「あぁ……お前には、謝罪と感謝の言葉を言わねばならない。

すまなかった……そして、ありがとう」

『！』

その瞬間、影山はAの頭をそっと撫でた。誰かにこうして頭を優しく撫でられることが今までなかったAは、一瞬にして心が溶けていくような感覚がした。

影「フッ、最後にお前のそんな顔が見れてよかった。……幸せになれ、A」

『はいっ……いつまでもお待ちしています。影山総帥……』

影山の姿が見えなくなるまでAはその背中を見つめていた。