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「ありがとね〜。ここの薬草は冷え性にとっても効くから助かってるのよぉ」
『そりゃどうも。長生きしてねお婆ちゃん』
「また来るわね〜」
笑顔で手を振って客を見送るA。
客がいなくなったタイミングを見計らい、白衣のポケットに入っていた紙煙草を口にくわえ火の魔法を使おうとした時、誰かに煙草を折られてしまう。
「ちょっと、煙草はやめてって言ったわよねお姉ちゃん」
『……ヴィル。また来たの?』
高そうなコートに変装用のサングラスにマフラーを巻いてやって来たその男は、Aの従兄弟のヴィルだった。
「煙草出して。ストックの分もよ」
『はいはい』
諦めてポケットの中に入っていた2箱分の煙草をヴィルに出すと、ヴィルは溜息をついて煙草を受け取った。
「医者に止められてたでしょ。何してるのよ」
『吸わなきゃやってらんなくて』
「中毒者みたいなこと言わないで」
ヴィルはそう言うと、近くのガーデニングチェアに腰掛けた。
『ハーブティーでいい?』
「えぇお願い」
慣れた様子で流れるようにお茶の用意をするAと、当たり前のようにお茶を淹れてもらうヴィル。
室内庭園のように穏やかな草花の匂いが漂う中、二人は沈黙だった。
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作者名:梅こんぶ | 作成日時:2020年11月24日 21時