夜桜の木の下には彼女がいた３〜FFI編〜

１３９． ページ39

響木にそう言われ、Aは驚きで一瞬固まってしまう。








影山は昔、Aの弟である太陽を攫い、そして真・帝国戦の時は潜水艇を沈めAを殺そうとした。








その影山が今、この島にいるのだと言う。驚きを通り越して怒りがふつふつとこみ上げてくる。








『もしかして、円堂達……影山と接触を？』








響「あぁ……このことは他のチームメイトには秘密にしろ。大事な試合前だ。こんなことで動揺させちゃいかん」








『わかってます……』









Aは影山のことを思い出し、どこか息苦しい感覚に陥る。きっとトラウマなのだろう。









一度奴のせいで死にかけた身。平気でいられる方がまずおかしい。









『私、今日は休みます……なんだか、少し気分が悪いので』








響「無理もない……食事は部屋に持って行かせる」








『ありがとうございます。失礼しました……』








そう言ってAは少しふらつく足で部屋に戻っていった。









『はぁ、はぁ……』









脳裏にあの日、自分が死にかけた時のことがフラッシュバックする。








悶えても悶えても体に入るのは水ばかり。息の出来ない状況で意識を手放す自分。









思い出すだけで体が酸素を求めて呼吸が荒くなる。









Aが部屋の扉の前で立ち尽くしていると、後ろから肩を叩かれた。









肩をふるわせ後ろを振り返ると、そこにはヒロトが心配そうな目でAを見ていた。









ヒ「Aちゃん？顔色が悪いけど、どうしたの？」









『ヒ、ロト……』








Aはヒロトの顔を見て安心したのか、呼吸が正常に動きはじめた。

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