170話:いい人なんだけど… ページ33
・
『ねぇブチャラティ』
美しい海をバックに彼は振り向いた。
……海似合うなぁ。
ブ「A、どうした」
『ブチャラティってさ、麻薬嫌いなの?』
ブ「……そうだな…、嫌いだ」
『一緒だね、私も嫌いだよ。
……ジョルノならきっと、イタリアから麻薬をなくしてくれると思うの。彼にはその力がある』
ブ「……それは…どういう意味だ」
『まぁまぁ、ちょっと聞いてよ』
私は乗っている船のデッキに腰かけた。
ブチャラティも私の隣に座る。
『あのさ、今日電車でジョルノの口から指とか出させてたじゃない?スティッキー・フィンガーズで』
ブ「あ、あぁ……そうだが…何故知っている?」
……あ、
『え、っと……わ、私も乗ってて…
新入りの人が気になってこっそり着いて行っちゃった…。
邪魔しないようにちょっと遠くから見てた、の…。
でも電車で新入りさん見れたからそこですぐに帰ったよ…!』
そうだったのか、と納得してくれたようで安心した。
危なー!気を付けなさいよ何回目よ…
『でね、もしもの話なんだけどね。
もし私がこのチームに入ってなくて、ジョルノの隣にいたら、ブチャラティは私にも同じことやってた?』
前回、ブチャラティは私にはそれをしなかった。
もちろん前回だけではなくいつもそうだった。
ブ「……やらないんじゃあないか?
あれはジョルノをビビらせる為にやっただけだしな。
それに、疑いのあるジョルノの隣にいる一般女性ってことならやらないと思うな」
『ふーん……じゃあブチャラティは敵が女だったらそんな風に手加減しちゃうの?』
ブ「そういうわけにはいかないが、敵とはいえ女性には少しは手加減するかもしれないな。
上からの命令じゃあどうであれ仕方ないが」
『そっかそっか。ありがとう』
ま!私は前回あんたに殴られはしたけどね!
私は立ち上がって背中を向けた。不思議そうにこちらを見るブチャラティに手を振ってジョルノの所へ向かう。
優しくて紳士的な人なんだけどな、ブチャラティ。
仲間想いで気遣いもできる「いい人」。
なのに……
デリカシーがないッ…。
この後来るトリッシュにまたデリカシーのないこと言わせないようにしないと。
あんたがあんまりにも完璧な人だったから、あの時すっごくビックリしたな…
76人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年7月27日 2時