157話:フェンスと国境を越えて ページ20
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地上へ続く梯子を登りきるまでは誰も喋らなかった。
とりあえず急がなくてはならない、レオが起きる前にカチューシャからこの子達を逃がさないといけないから。
頂上にたどりつき、上の蓋を開けると横たわっているレオの姿が目に入った。
頭から血が流れている。しっかり直撃したようだ。
部屋から財布を盗み取ると全員を外に出し、庭に干しっぱなしのブランケットを一人一人に持たせた。
彼らにはこれから、海を渡ってもらう。
カチューシャの門は閉められて鍵がかかっていた。
南京錠の鍵はレオが持っているみたいだな…。
私はカチューシャを囲っているフェンスに手をかけた。
レオ「クッソォォォォォｫｫｫｫｫｫｫｫｯｯｯｯ！！！！！！！」
全「！！？」
逃げたのがバレた。
思ったより起きるのが早かった…。
でも幸いまだ部屋にいる。
『みんな！早くフェンスを越えてｯ！』
皆、今のレオの声を聞いて恐怖を抱いたみたいだ、急いでフェンスを登り始める。
だが、
ベリー「A…？どうして登らないの？
Aが登ってから私も行く…」
『…ベリー…私は少しだけレオを引き付けておくよ。
時間を稼いでいる間に皆は逃げて』
リ「は！？お前一人じゃ危険だ、俺もそっちに戻…」
『それはダメ。スノウ、ベリーを抱えて行って』
スノウ「……わかった」
嫌だと泣きながら私に手を伸ばすベリーをスノウが連れていく。
フェンスの向こうのリタと手を合わせた。
そして全員を見る。
『いい？よく聞いて。
国境を越えるのよ。
レオはイタリアを牛耳るギャングの幹部なの。
このイタリアにいれば必ず見つかる。
だから海を渡ってイギリスに行きなさい。
イギリスの△△に私が住んでた家があるからそこを目指すのよ』
『……大丈夫、ちゃんと私もそこに行くから。
それまでは自分達の安全を考えるんだよ』
トレイスが背を向けた。
いい子だね、あんたは賢いから。
続いてベリーを抱えたスノウとシャルトも背を向ける。
ジュリアは何度も振り返っていた。
最後は……リタ。
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作者名：胡蝶 | 作成日時：2022年7月27日 2時
