2001に死者の帰還を (ページ1)

今日:12 hit、昨日:14 hit、合計:6,217 hit

138話:あの日の白い影ページ1

・

チリン……チリン……

〈やっとお目覚めのようですね。結局何も知らなければ貴方はこうなる運命なのですよ、A〉

な、なに…ここは………真っ白で綺麗な場所…。

〈ここは白の世界。貴方がそう呼んでいたのですよ。

全部忘れてしまっているのでしたね。
まったく…。人間は本当に弱い存在です。
極度のストレスがかかると耐えかねてこのように逃げてしまうのですから。

もう一度説明が必要ですか？〉

…。

……たまにあったあの頭痛がまた始まった。
あの脳をつねられるような鋭い痛み…。

いつもより酷くて、でも何か思い出せそう。
時々感じていたあの違和感……それがわかる気がする…。

〈A。貴方にもう一度説明しましょう。
きっとこれで思い出せます〉

何者かは分からないけれど、敵ではないと私は分かっているから警戒の必要もない。
目の前の白い影に頷いた。

〈私の名は……

リターン・オブ・デッド(死者の帰還)。

リカーラ家初代当主、一月のスタンドです〉

『初代当主、ですって…？
一月はとっくの昔に亡くなってるでしょ？
なぜスタンドの貴方は消え…………あ…、もしかしてあのジェット機での不死身のスタンドと同じ類いってこと？』

そもそも一月の生きていた時代にスタンドが…？

〈前者については後程。そして後者の質問については…
私が特別だから、というのが答えですね。
私はただのスタンドではありません。
一月が亡くなる直前私はその子供の二代目当主、二月にに主を切り替えました。私にはそれができます〉

そうやって当主が変わるごとにその血縁者に主を切り替え続けて存在し続けてきたというわけか…

〈次は貴方達リカーラ家の運命について。

リカーラ家は〈運命を壊す運命〉を背負ってきました。その運命には貴方のよく知るジョースター家も関わっていますよ。
まぁ、それはいいとして…
貴方達は他人の運命を壊し、変える力を持っているのです〉

〈……そう………他人の、ですよ。
リカーラは他人の運命しか壊せない。
自身の一族の運命だけは、壊すことができません。
リカーラは代々短命。他の持ちえない強大な力を持った代償ですね。
せいぜい25。私の主となった当主は25になる前に死ぬという運命の中にいます〉

『じゃあ私はその運命の日をただ待つしかないってこと？』

〈いいえ。
だからこそ、「太陽」がいるのです〉