8話 ページ9
.
鞄を肩に掛けて天馬達が居る更衣室へ向かおうとすると、後ろから足音が近付いてくる。
「…Aか?」
少年の声がAに掛かる。
Aはそっと振り向くと、そこには緑色のお河童ヘアーで白いマフラーを口元まで覆っている少年。
そして、白恋中のジャージを着ている。
A「"真狩"くん!」
真狩「やはりAか…!」
白恋中で同じ一年の真狩銀次郎だ。
真狩「そのジャージ…Aは本当に雷門中のサッカー部に入ったのか。」
A「…うん」
真狩がAのジャージ姿を見て述べると、Aは申し訳無さそうに俯かせた。
Aは白恋中をフィフスセクターから守る為に、何も言わずに白恋中を去るつもりだった。
しかしその時に真狩に見つかってしまい、真狩にだけ行先を伝えたのだ。
だから真狩はAが雷門に行ったことを知っていた。
真狩「…雪村には、伝えなくていいのか」
A「…真狩くんも知ってるでしょう?豹牙は私に依存してる、それはもう異常なくらい。だから豹牙に、雷門に転校するって伝えたら…」
真狩「雪村が荒れる。…精神が安定しない。…雷門のヤツらに何をするか解らない…ということか」
A「えぇ…本当は伝えない方がもっと駄目なんだろうけど、豹牙には一番かなって」
真狩「…そうか」
雪村は普通じゃない。
雪村はAに好意を抱いており、かなり依存している。そしてかなりの嫉妬魔だ。それは人並み以上であり異常である。
ずっと傍に居たAは豹牙のことをよく知っている為、豹牙の気持ちを考えた上で何も伝えずに雷門に転校したのだ。
真狩「…安心しろ。雪村には"仕事を任されて白恋から離れている"と伝えてある」
A「ありがとう、真狩くん…」
真狩「だが…雷門が初戦を勝ち抜いて白恋と戦う時、Aはどうする?雪村にバレてしまう」
A「…その時、私は試合に出ないつもりよ」
真狩「何故?」
A「豹牙が暴走しそうだからっていう単純な理由かな。…でも、もし豹牙たちに何かあったら…私は試合に出るつもりではいる」
真狩「…A、雪村は──」
真狩がAをじっと見詰めて何か言い掛けた時に、真狩の端末が鳴った。
真狩が端末を取り出せばアラーム音の様で、集合時間が来たらしい。
真狩「悪い、時間だ。A…またな」
A「え、えぇ…またね、真狩くん」
言い掛けた真狩の言葉を気にしながら、慌てて走っていく真狩の後ろ姿を見詰めていた。
「──…"姉さん"。」
Aの姿を見ている影が、一人。
.
62人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りはる | 作成日時:2020年4月1日 2時