第97話 厄介な予感 ページ2
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調査出来たのは、とりあえずここまで。
生き延びたその人物から話を聞けるのは後日。
そこまで話すと旦那はガシガシと頭を掻き、眉間にシワを寄せた。
まぁ、これと言って、有力な情報ではないことは俺も分かっていた。
生い立ちがわかれば、狙われる理由もなにか掴めると思ったが、空振りのようだ。
そうなると吉原に来てから彼女は恨みを買うような事をしでかしたのかねィ……そうは見えないが。
「こうなったら四六時中、Aちゃんを警護するしかなさそうですねィ」
「あぁ。それは百華が動いてるみてぇだけどな」
ため息混じりに旦那はつぶやく。もどかしいのだろう。
旦那の態度を見る限り、彼女のことを特別に想ってることは容易に分かった。
Aちゃんの事を思い出すと同時に頭を浮かぶのは、あの悪党の顔。
「旦那、青い瞳をした若い男……Aちゃんの周りで見たことありやすかい? 」
神社で出会った、アイツを思い出す。貼り付けた笑みと、どっかのチャイナに似た顔立ち。
俺の言葉に一瞬、旦那は目を見開いたが、すぐにいつもの死んだ魚に戻る。
その様子から旦那が何かを知っているのが分かった。
俺は、歌舞伎町でAちゃんに会った事。神社での出来事、青い瞳の野郎のことを話す。黙っていることでもない。
「Aを襲ったそいつらからは、何か聞き出せたのか」
「いや、ほとんどは話せる状態じゃありやせんでした。
見つけた時は全員、虫の息でさァ。
怪我の具合がひどくてね。
あれは話せるようになるまで時間かかりそうですぜ。
まぁ、あの蓬莱は幕府の人間ですが、色々悪事を働いてると有名でね。
別の件でも俺たちはアイツを追ってたんで、捕まえられて、ちょうど良かったですけどねィ」
旦那を納得したように間延びした声をだしてあくびをした。
「どうりで総一郎くんとA、知り合いっぽかったワケね」
「旦那。すれ違いとはいえ、
Aちゃんを見逃したことは謝りやす」
結果、彼女はこちらに戻ってきたが、あん時は無理矢理でも、アイツから引き離すべきだった。
小さな後悔から舌打ちしそうになる気持ちを抑えて、旦那に疑問をぶつける。
「……何者でさァ? アイツ。
あの野郎を野放しにすると厄介な気がしますぜ」
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月夜の光(プロフ) - SARAさん» コメントありがとうございます!遅くなり申し訳ありません!読んでくれて嬉しいです!カメ更新ですが、よろしくお願いします! (1月8日 20時) (レス) id: 26850a1960 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の光(プロフ) - 寝子/猫さん» コメントありがとうございます!!遅くなり申し訳ありません!うぶな神威くんの行き着く先を一緒に見守ってください! (1月8日 20時) (レス) id: 26850a1960 (このIDを非表示/違反報告)
SARA(プロフ) - 1日で読み終わっちゃいました!大好きです♡更新またあるといいなあ… (10月1日 16時) (レス) @page5 id: 000b3a28d3 (このIDを非表示/違反報告)
寝子/猫 - 恋にうぶなかむいくん尊い (8月26日 1時) (レス) @page5 id: a46c77cf46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月夜の光 | 作成日時:2023年8月6日 14時