第36話 勘違い ページ37
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街を見渡しても、子どもを探してるような親は見当たらない。名前を聞けばカケルと名乗った。
『あ、月詠さん! 』
キセルをふかしながら振り向いた彼女は私たちの姿を確認すると、石のように固くなり動かなくなった。
「Aに……」
『こんばんは。あのこの辺りで迷子の』
「Aに何をした銀時ィ! 」
『え』
その瞬間、身の危険を感じたのか、銀時さんがとっさにカケルくんを私に素早く預ける。
月詠さん街中で危ない!
さすがにクナイが飛び交うのを子どもに見せられない。懸命に2人の間に入って騒動を止め、早口でこの状況を説明をする。それを聞いた月詠さんはパッとクナイを銀時さんに投げるのをやめた。
「なんじゃ、迷子か。それを早く言え」
「言う前に勘違いしたのはお前だろうが」
『この辺で子どもを探してる方とか見かけました? 』
私の問いに残念ながら首を横にふる月詠さん。そう簡単に見つかる訳ないか……カケルくんを見れば不思議そうに私を見つめてくる。
「あら、Aに銀さんに月詠じゃないか」
『女将さん! 』
買い物帰りらしい女将さんはニコニコ手を振って歩み寄る。その笑顔は私たち3人とカケルくんを確認すると、先程の月詠さんと同じように固まった。
「ぎぎ、銀さん! どっちの子なんだい?! 」
『女将さん違います……』
「吉原の女は早とちりしすぎなんだよ! 」
女将さんも買い物袋をどすんと落とし、見てはいけないものを見てしまった、という青い顔をしている。
「あぁ、迷子なのかいこの子。いくつだい坊や」
女将さんの問いに、よんさい、と親指を曲げて指先で年齢を表してくれる。心細いだろうから早く会わせてあげたい。
「んー。さっきスーパーの近くで子ども探してる母親がいたんだけど、もしかして」
『そ、その人かもしれないです』
有力な情報が入り、銀時さんと顔を見合わせる。行くだけ行ってみよう。月詠さんと女将さんに別れを告げて、スーパーへ足を早める。
「おじさんがね、おねえちゃん呼んでたよ」
『おじさん? 』
「でも、おにいちゃんが、
おねえちゃんに会えばママに会えるって」
銀時さんの背中で揺られながら、カケルくんが何か言い出す。だが断片的で話が繋がらない。銀時さんも困惑し、お兄ちゃんって誰? と私が聞いても、
「しらない」
としか答えてくれなかった。
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月夜の光(プロフ) - ありちゃんさん» コメントありがとうございます!!そう言ってもらえてすごく嬉しいです(;o;)もっと上手に表現できるように頑張ります!ありがとうございます! (2021年2月28日 15時) (レス) id: e8dd5af318 (このIDを非表示/違反報告)
ありちゃん(プロフ) - 月夜の光さんの神威が好きすぎて他の作品見れなくなりそうです!!キュンキュンします(^^)更新楽しみにしてます (2021年2月27日 20時) (レス) id: 15fe9d02c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月夜の光 | 作成日時:2021年1月2日 22時