第37話 太陽の侍 夜の兎 ページ38
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「本当にありがとうございました! 」
「ばいば〜い」
『バイバイ』
カケルくんとお母さんを会わせることに成功。お母さんは何度も私たちに頭を下げて、今度こそ、はぐれないように、しっかりと手を繋いで2人は去っていった。
結局カケルくんが言った、おじさんもお兄ちゃんも誰なのか分からなかった。でも無事会えたからとりあえず良しとしよう。
「帰るか」
『はい』
銀時さんはお疲れ気味の表情で、あくびをひとつもらす。聞けば猫も無事に見つけられたそう。銀時さんの昼間になかった顔の傷から、戦いの跡がうかがえる。
『銀時さん、あの』
「はいはい。
もう遅いから帰れとか言うんだろ? 残念。
俺はもう送るまで帰らないって決めたんですゥ」
な、なんで分かったんだろう……
図星すぎて何も言えない私に銀時さんはお見通しだ、と勝ち誇った表情を浮かべた。
「少しは年下らしく甘えてみな」
何気なく発した銀時さんの言葉に、過去に私が言われた言葉たちを思い出す。
子どもらしくじゃない。吉原の人間らしくいなさい
急に世界に1人、放り出されたあの日。子どもなのに子どもでいられない現実が酷く残酷に思えた。その言葉通り、規則を破れば大人と同じように罰せられ、誰も子ども扱いなんてしてくれなかった。誰にも甘えず、無理やり大人になろうとしていた。
しかし、銀時さんの言葉は17歳のただの私に向けて言っている。それがひどく嬉しかった。
同時に彼がみんなから好かれる理由が分かった気がする。
「おー。月がでてきたな」
彼の言葉につられて、視線を空に向ければ幾重にも重なった雲の隙間から、淡い白い月が姿をあらわす。
その光景になんとなく銀時さんには夜の月より、春の太陽が似合うなとぼんやり考える。神楽ちゃんと新八くんと歩く姿が思い浮かぶ。じゃあ夜の月は誰だろう。
私の中に浮かんだのは、闇夜をさっそうと駆け抜ける神威さんの姿だった。
『あれ……』
屋根の上、何かが動いた気がした。しかし銀時さんを見ても気づいてない様子。勘違いかな……そう言い聞かせ、銀時さんの隣を再び歩いた。
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月夜の光(プロフ) - ありちゃんさん» コメントありがとうございます!!そう言ってもらえてすごく嬉しいです(;o;)もっと上手に表現できるように頑張ります!ありがとうございます! (2021年2月28日 15時) (レス) id: e8dd5af318 (このIDを非表示/違反報告)
ありちゃん(プロフ) - 月夜の光さんの神威が好きすぎて他の作品見れなくなりそうです!!キュンキュンします(^^)更新楽しみにしてます (2021年2月27日 20時) (レス) id: 15fe9d02c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月夜の光 | 作成日時:2021年1月2日 22時