第10話 キャラメル ページ11
銀時side
吉原に似つかわしくない奴だった。
「お兄さん、いい男だねぇ」
「ウチの店寄って行かない? 」
「サービスするからさぁ」
男を誘惑し、
生き残る為に嘘でさえ、甘く囁く女たち。
しかし彼女は、
嘘をつくわけでもなく、
甘い言葉も囁かない。
『銀時さん当たった! 』
「えっ」
そんな過去の記憶をさかのぼりながら、
彼女の横顔をボーッと眺めていれば、
パッと笑顔を向けられる。
手元をよくみると、
Aに到底似合わない銃(おもちゃだけど)を持っていた。
景品台には仰向けに倒れたキャラメル箱。
「すげぇじゃん」
『たまたまですよ。
でもこれにして正解でした。どうぞ』
紙に包まれた小さなキャラメルが、
コロリと手のひらに転がる。
甘いの好きですよね、とAは笑う。
「あぁ……さんきゅ」
曖昧な返事。
そうした後にもっと上手く返せばよかったと恥ずかしくなる。
ダメなんだ
彼女を前にすると
調子が狂う
『あっ』
Aが小さく声を上げた。
視線をたどると俺、ではなくその後ろを見つめている。
小さな兄妹がいた。
Aの手にあるキャラメルを凝視している。
彼女はフッと優しく微笑むと、
同じ目線になるように膝を折る。
『どうぞ』
「いいの? 」
と言うとAは、先ほど懸命に狙い落としたキャラメル箱を丸ごと2人に差し出す。本人は食べてもいないのに。
兄妹はパッと笑顔になり、彼女に礼を言うと走り去っていった。
「お人好しだな」
一部始終を眺めている俺は一言呟く。
Aは困ったように笑った。
『誰かの為になる事なら、何でもしたいんです』
Aは
自分よりも他人を優先する奴だった
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月夜の光(プロフ) - ありちゃんさん» コメントありがとうございます!!そう言ってもらえてすごく嬉しいです(;o;)もっと上手に表現できるように頑張ります!ありがとうございます! (2021年2月28日 15時) (レス) id: e8dd5af318 (このIDを非表示/違反報告)
ありちゃん(プロフ) - 月夜の光さんの神威が好きすぎて他の作品見れなくなりそうです!!キュンキュンします(^^)更新楽しみにしてます (2021年2月27日 20時) (レス) id: 15fe9d02c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月夜の光 | 作成日時:2021年1月2日 22時