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記憶に刻んで、消えて欲しい ページ28

自分がこの部屋に通されたことに、

いまいちピンとこないのか、

物珍しそうに辺りを見渡す。


パイプ椅子を持ち出し、彼女の横に広げた。

彼女は僕の一連の動作を眺めているが、

突っ立ったまま動かない。



「そこ、座って下さい」



そう言うと、まさに渋々といった感じでちょこんと座った。


僕は棚の上から救急箱を取り出し、

彼女の足元にまるで(ひざまず)くかのように、

膝立ちする。



コットンにたっぷり消毒液をかけていると、

やっと状況が分かったのか、慌てたように立ち上がる。



『あ、あの、別に、いいいです……!


ぜ、全然痛くないし、あのだから、』



"い" が一個多いし。


懸命に僕の好意を受け取ろうとしない彼女に苛立ちを覚えた。



(痛そうだから、手当てしてやろうと思ったのに)



自分も体験者だから、それなりに痛みは分かる。


だから、僕は座った姿勢のまま、

ワザと彼女がケガした右手の甲を無理やり掴んで座らせる。



『いっ! 』



強く掴みすぎたせいで、少し傷口から血が出てきた。


「ほら、痛いんじゃん」


僕がそう指摘すると、

嘘を見抜かれた事が恥ずかしかったのか、

唇を噛み締める。







あ、あった。






彼女の瞳に僕が映っている。

やっと、目を合わせられた。




それだけなのに、なんだ、この嬉しさは。




ニヤけた顔が彼女に分からぬよう、ずっと下を見続ける。



てか、なんなのこの手。

白いし、小さいし、なんか柔らかいし、

僕の手とは大違い。


爪は短く切られている。

こういう所に好感を覚えるんだ。

あまり長いと猫を傷つけるから。

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月夜の光(プロフ) - 林檎麻さん» 林檎麻様、更新が遅くなって本当に申し訳ありません! お気に召したらいいなと思っております> < (2016年9月20日 0時) (レス) id: d3821ecd4f (このIDを非表示/違反報告)
林檎麻(プロフ) - 月夜の光さん» うわあぁあぁ返信ありがとうございます!!!こちらこそ本当にありがとうございます!! (2016年8月18日 23時) (レス) id: 6ae5345221 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の光(プロフ) - 林檎麻さん» いつもありがとうございます!リクエストもとても嬉しいです!期待に沿えるよう頑張ります!! (2016年8月18日 20時) (レス) id: 882257e3d8 (このIDを非表示/違反報告)
林檎麻(プロフ) - カラ松とツンデレ妹夢主ちゃんの絡み合いが見たいです!!(笑)いつも怪我ばっかりしている次男の身体を見て、ちょっと心配する夢主ちゃん…みたいのです…分かりづらくてごめんなさい…!! (2016年8月17日 22時) (レス) id: 6ae5345221 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の光(プロフ) - 林檎麻さん» コメント本当にありがたいです!一松が一番好きなので、どうしても一松ばっかりになってしまいます笑笑 新作も見て頂きありがとうございます!そちらは全然更新出来てませんね…なのでそっちも頑張ります!いつもありがとうございます!! (2016年7月3日 9時) (レス) id: 882257e3d8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月夜の光 | 作成日時:2016年3月17日 0時

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