大好きな君が心配なんです【すとぷり】

5.過呼吸(莉犬) ページ14

最近、会社に行くのが凄く憂鬱だ。

勿論、会社自体ブラックな訳じゃないし、隣のデスクの綺麗な先輩だってとても優しくて仕事も出来て憧れる。


だけど、1人とても嫌な男性の上司がいるのだ。

その人は何か上手くいかないことがあったりストレスが溜まっていたりすると、私に八つ当たりという名の理不尽な怒り方をしてくる。

しかしそれは誰にでもというわけでは無く、今年の新入社員で若年者の私を主な標的にしてくる。

理由は簡単、何も言い返せないからだろう。


先輩はそれに気づいていて、対処して貰おうと上に掛け合ってくれたのだが、厄介なことにその上司は業務成績と外面だけは良いから、どうせ私がミスをしたから正当な注意を受けたのだろうと信じてもらえなかったのだ。



そして今日もまた例外でなく、自分が指示したのに「それはこうじゃない」とか「お前に任せるんじゃなかった」と散々理不尽に責められた。

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嫌な仕事も終わり、家に着く。


『ただいまー』


そう声を掛けても返事はない。

最近はアルバム制作や個人の作業で皆忙しいらしく部屋に篭っていることが多く、帰ってきてもほとんどリビングにはいない。

本当は上司のことも誰かに相談しようとした。けど、忙しい皆の邪魔はしたくないし、相談したところで何か変わるとも思わなかった。


夕食を軽く済ませ、お風呂も入った。あとはベッドに入って寝るだけ。

だけど、まだ眠れそうにない。寝て起きたらまた会社に行ってあの上司と顔を合わせなきゃいけないと思うと、現実逃避だってわかってるけど寝たくなかった。


(ココアでも飲もう…)

そう思ってキッチンに行って温かいココアを入れてリビングへ戻る。

ちびちびココアを飲み進める。でもテレビもつけずに静かな1人のリビングでは、どうしても明日の会社のことを考えてしまう。



……明日もまた怒られるかな



……何回顔を合わせるだろう



……先輩が休みだったらどうしよう



行きたくない

辛い

あとどれくらい続くの？








誰か助けて









『………っはぁ……ふ……』


ﾋｭｰ

ﾋｭｰ


呼吸が、できない

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