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莉犬side
「…よし!終わったぁぁ」
ここ最近毎日進めていた作業がやっと一段落ついた。これで明日は少しゆっくり出来そうだ。
時刻は11時半。
毎日遅くまで作業をしていたからまだ寝る気になれず、飲み物を取りに行こうと部屋を出た。
(あ、明日放送しよ!最近出来てなかったし)
そんなことを考えながらリビングのドアの前まで行くと、何やら声?というか音が聞こえる。
皆はまだ部屋にいるようだから、Aが誰かと電話でもしているのだろうか。
(にしては息乱してるような……笑ってんのか?)
「A〜?」
リビングのドアを開けると、座卓の前で苦しそうに肩で息をするAが見えた。
「え?!大丈夫?!」
急いで駆け寄るが、呼び掛けても返事はない。意識はあるらしく俺の声に頷いている。
見た感じ、恐らく過呼吸だろう。
俺は頭をフル回転させて考える。袋を口に当てて呼吸させる方法は危ない場合があるからあまり良くないと聞いたことがある。
こういうときは落ち着かせるのが大事だってテレビか何かで言ってた気がする。
「A〜?大丈夫大丈夫、俺いるからね」
Aの横にしゃがんで背中を擦りながら優しく話し掛ける。
「俺に合わせてゆっくり息してみよう?」
「すってー、はいてー。ゆっくりでいいよ」
あくまで焦らせないように。
今日の朝も顔を合わせたけど特に顔色も悪くなかったから、多分これはストレスか不安から来るものだろう。
5分ほど背中を撫でていたら落ち着いてきたようだ。
『……ふぅ。びっくりさせてごめんね、ありがとう』
「俺はいいけど……何かあったの?」
『……』
「言いたくないなら無理に聞かないけど、もし俺に迷惑かもとか考えてるなら、全くそんなこと無いからむしろ教えて?」
そういうとAはやっと口を開いた。
『…会社に、嫌な人がいて、変な理由で、怒ってきて…先輩が相談してくれたけど、ダメで…。もう…どう、したらいいのかっ…わかんなくて…明日、会うのも、嫌で』
Aは話しているうちに泣き出してしまった。普段は無駄にヘラヘラしてて滅多に泣くことのないAが人前で泣くなんて、相当溜め込んでいたんだろう。
泣きながらゆっくり話してくれるAが少しでも安心出来るように背中を撫で続ける。
一通り話終わったら、俺はAを抱き締めた。
「そっか、いっぱい頑張ったね。偉かったね」
そう言って頭を撫でると、俺の方に頭を埋め更に泣き出してしまった。
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つばさ - とても楽しかったです (7月5日 6時) (レス) @page47 id: dd93105dfa (このIDを非表示/違反報告)
あや - 久々に観に来ました!何回見ても飽きないです!ここまでお疲れ様でした! (2022年8月15日 13時) (レス) id: 7e40220ef6 (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - 野菜さん» 申し訳ありません…。現在リクエストは締め切ってしまっていまして、この話は「骨折」で終了する予定なんです…。ですが、続編を作る予定ですので、少し先になってしまうかもしれませんがそちらで書かせて頂きたいと思います!リクエストありがとうございます…! (2020年1月12日 2時) (レス) id: c18b45fe4f (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - さきさん» わ〜凄くわかります!!あの眠くなっちゃう現象は何でしょうね…?やっぱり安心する声だからでしょうか…! (2020年1月12日 2時) (レス) id: c18b45fe4f (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - 海月さん» 温かいコメントありがとうございます…!少しずつですがこれからも頑張りますので読んでいただけたら嬉しいです。 (2020年1月12日 2時) (レス) id: c18b45fe4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もなか | 作成日時:2019年9月20日 0時