花束を貴方に【utit】 (ページ3)

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かくれんぼページ3

そ「Aは行方不明、捜索しても今は情報のひとつもない。…ただ、ここに居る6人だけはAを知る権利がある。」

ま「どういうことです?」

そ「俺の所に『みんなへ』っていう手紙が一緒に届けられてた。つまりそういうことだろ。」

う「それでただの遺言書だけだったら1番辛いパターンじゃん。」

せ「Aはそんなことせんよ、多分。さかたに花の話をしたのも意図があってのことやと思うよ。」

Aへの絶対的信頼。せんらは「多分」と保険をかけたが彼の中では「絶対」に変わっている。

し「そらるさん、取り敢えず読んでよ。」

そ「そのつもりですよーっと…」

そらるはAが書いたであろう手紙を読み始めた。

『拝啓、親愛なる友へ。お手紙を贈ります。皆さんがこの手紙を読んでいる時にはまだ私はおそらく生きています。』

ここまで読んで皆がざわついた。まだ生きてる。良かったなんて声を零した。
そらるはまだ続きがあると言い読み続ける。

『ただ、まだ帰れません。そこに私がいないから。そこに居るのはベゴニア、ハナトラノオ、ナンテン、アンスリウム、ストレプトカーパス、カモミール。』

う「さかた、どれが誰か分かるか?」

さ「最初っから順に、まふくん、せんら、おれ、しまくん、うらさん、そらるさん…だったはず。取り敢えず1番長い名前のがうらさん。」

さかたらしい覚え方。これだけ難しい呪文のようなものを覚えているのだから、それはそれはもう沢山聞かされて来たんだろうということが伺える。

う「本当にAの花がないんだな。」

『さかたは気づいたと思うけど、そこにスイートピーはありません。だから、見つけて欲しいです。私を。私の想いを。』

『そこにある花たちはまだ完成していません。そうでしょ?だって私たちはいつだって7人でひとつだった。それぞれで固まっていたって意味がない。花束を完成させて、私のお迎えに来て欲しいです。』

『2枚目には次へのヒントが、3枚目にはそらるさんへの手紙を残しています。そらるさんへの手紙はそらるさん以外読まないでください。今はこれでおしまいです。どうかどうか、見つけてくれることを願って。敬具』

そ「…あほかあいつ。受験勉強で忙しいこの時期に。」

う「俺だって文化祭実行委員で忙しいのによぉ…」

せ「そんなこと言っても、やるんでしょう?Aからのかくれんぼ。」

そ「当たり前だろ。」

う「すぐに終わらせりゃいい話だしな。」

なんだかんだで友人思いな6人は、Aが勝手に始めたかくれんぼに付き合ってあげることになった。