【歌い手】アナタの世界で、ヒミツを暴いて。【コラボ企画】 (ページ23)

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Secret No.8『瞳に映るのは』ページ23

君の瞳には、俺だけが映ればいいのに。

目の前にいる愛おしい彼女を見て、何度もそう思った。

スマートフォンにイヤホンのプラグを差し込み、両耳はイヤホンで塞がれていた。

肩あたりで切り揃えられた髪からはイヤホンの線が見え隠れしていて、白いイヤホンは綺麗で艶のある黒髪によく映える。

うつ伏せになりながら上半身を腕で支えて、手にはニコニコ動画を起動させたスマートフォンが大事そうに握られていた。

かれこれ2時間はずっとこの体制でい続けるAに、ため息が出た。

「Aさ～ん。いつまでそれ聴いてるの～？」

そう言ってもスマホから視線を逸らさない彼女にカチンときて、俺も同じ体制になりながらAのおでこにむかって、少し強めに頭突きをした。

「いっ……ちょっと！何すんのよなるせ、って、ふっ、んふふふ、何してんの？っふ、ふふ、バカ？」

強めにぶつけると思ったよりも痛くて、そのまま横にゴロンと寝っ転がりおでこを押さえて悶えていると、少し上からAの笑い声が聞こえてきた。

おでこを押さえたまま、首だけをAの方に向けた。

「お前に話しかけても気づいて貰えなかったから頭突きしたんだよっ…お前が石頭なの忘れてた…いたい…」

「はいはい、おバカななるせさんは寝んねしましょうねー」

おでこを押さえていた手の上にAが右手を重ねてきて、目線はスマホに向けたままそんなことを言ってきた。

細い指で前髪を横に流され、頭をポンポンと撫でられる。

「やめろ…」

普段されないことに気恥ずかしくなるが、頭を撫でてくれる手が心地よくて振り払うことが出来なかった。

「あと、俺お前よりはバカじゃないよ。英語できるし。はい！お前の方がバーカー！スマホばっかり見るな！目悪くなるぞニコ厨！」

バカと言われたことを思い出し、普段おちゃらけるように声をワントーン上げて笑いながらそう言うと、Aはこちらを向いた。

何も言わずにっこりと笑っているが、目が笑っていない。怒ってる。やべ、やり過ぎたかもしれない。

「え、いや、ごめ」

「私、ニコ厨じゃなくてnqrseちゃんリスナーだから。ガチ勢の自覚ありの廃人リスナーだから」

すぐ謝ろうと口を開くと、Aが被せてそう言った。

怒るのそこ！？とツッコミたくなったが、はい、と返事をして大人しく頭を撫で続けられた。