魔法学園の最悪な魔女【浦.島.坂.田.船】

☆ ページ5

Diamond



「…大丈夫ですか？」



面倒事が嫌いな私だが、目の前で怪我をした人を無視するほど最低ではないのでとりあえず声はかけてみる。

男子はぼーっとしてこちらを見上げているが、全く反応は返ってこない。

打ち所が悪かったか。



「うーん。顔にかすり傷ができてるだけだから頭は大丈夫だと思うんだけど」



男子の頭と顔に傷がないか確かめるように両手で触る。

顔が床に擦れて、鼻とおでこに血が滲んでいるだけのようだが。

さっきまで髪と瞳と同じ位赤かった顔が、今は真っ青になっている。

というか、そろそろ何か喋ってほしいんだけど？



「ねえ、聞いているの？」



つい苛ついて低い声が出る。

すると、男子は脅えるような表情になる。


え？

そんなに怖かった？



「ご、ごめんなさい…！！なんでも…、なんでもするから呪わないで…！！」



は？

なんかまた変な奴に会ったなあ。

まあ、攻撃してこないだけましだけど。

いや、まて。

今こいつなんでもするって言ったか？


そして、私の悪巧みスイッチがカチッとオンになる音がした。



「ふふふ…。なんでもって言ったわね…？」



「は、はいぃ…」



「じゃあ今すぐ薬草園に行って薬草を採って来て。ダイヤモンドクラスの二十八番のよ！」



「は、はい！今すぐ！」



ふふふ…。

これで外に出なくて済んだ。


それにしても、この学園の生徒は私を魔女だの呪われるだの変な事ばかり言う。

こうして好き勝手に趣味に没頭できるのはいいが、授業中や休み時間は居心地が悪くてしょうがない。



「まあ、どうせ人間に興味ないし。これから興味持つことなんてないだろうからいいけど」



・

☆→←☆

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す