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二十六章 ページ26

「じゃあ、私は何なの?」

たまらずに問いかけた。
幽霊じゃないなら、私は何?
乱歩さんはちらりと私を見てから、また宙を見つめた。
「君はーまだ死んでいないよ。だから幽霊じゃない」

「…………………………?」
首を傾げる。何で?私は死んだ。交通事故で、確かに死んだはず。
「この世に残る幽霊なんて、心残りがあるか、またはまだ意識が戻らなくて、魂だけが離れていってしまっている、“未完成”幽霊か。どちからだって、聞いた事がある」
「この子は、その“未完成”幽霊って訳だねェ」
隣で黙っていた与謝野さんが口を開く。乱歩さんは大きく頷いた。

「君は死んでない。君とお母さんの気持ちによっては、まだ生きられるかもしれないよ」

その言葉が。
私の胸に広がって、あっという間にある気持ちを膨らませてしまった。
ー生きたい。
私、まだ生きていたいよ。

『夏は妾より先に死んだら駄目だよ』

お母様の言葉が蘇る。
知ってる。お母様を悲しませたら駄目だって。
「乱歩さん、私、生きたいです」
口にすると、決意がより固まっていく。

「じゃあまずは君の肉体探しだね!君どこで死んだの?まあ多分まだ病院にいるんじゃない?事故に遭った後病院に搬送されただろうから」
乱歩さん、さすがは世界一の名探偵!
でも。

「それって、どこの病院だい?」

与謝野さんの問いかけには、首を傾げたのでした。

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茉里 - ありがとうございます!続編もじゃんじゃん更新しますので……よろしくお願いします! (2019年6月4日 19時) (レス) id: 0903b0c425 (このIDを非表示/違反報告)
ク レハ(プロフ) - 完結おめでとうございます!続編のほうも応援させていただきます!! (2019年6月4日 18時) (レス) id: ddd19fa939 (このIDを非表示/違反報告)
カゲロウ(白ヰ迷ヰ戌)(プロフ) - ええ!勿論です! (2019年6月3日 18時) (レス) id: 26ee7c4c14 (このIDを非表示/違反報告)
茉里 - 最後まで読んでくださってありがとうございました!新作書いたらまたよろしくお願いします! (2019年6月3日 17時) (レス) id: 0903b0c425 (このIDを非表示/違反報告)
カゲロウ(白ヰ迷ヰ戌)(プロフ) - 完結おめでとうございます! (2019年6月3日 17時) (レス) id: 26ee7c4c14 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茉里 | 作成日時:2019年5月27日 21時

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