二十五章 ページ25
「僕は馬鹿だ」
乱歩さんは唐突に云った。その瞳は私でも与謝野さんでもない、何かを映している。
「僕は触れてはいけない物に触れてしまった。後戻りはできない。夏君、君の正体が判った。君は幽霊ではないよ」
………………?
鈴の伝説についておばあさんから聞いた後、乱歩さんは何か様子がおかしかった。今もおかしい。話の前後が繋がってない。
「夏君、君の母親は、川海咲子だ」
「え?あ、はい」
それは知ってるけど………それが何?
全く話しが摑めない私を置いて、乱歩さんは一人淡々と語っていく。
「川海咲子は異能者だった。世にも数少ない治療系の異能だ。ただし、その異能には欠点があって、娘の夏君がいないと発動しない。川海女医を名医にしたのは、川海女医の異能『華月』だったんだよ。『華月』の詳細は、娘の夏君がいる時のみ、重症の患者を治療する事ができると云うもの」
え?ちょっと待ってください、考える時間をください…………
お母様が、異能力者だった?
「夏君、君は勘違いをしていた。僕も勘違いをしていた。川海女医はただの名医ではない、暁優梨を殺したのは川海女医ではない。川海女医の異能を狙った闇組織だよ」
乱歩さん、待ってください、考える時間をください……………
「そうすれば辻褄が合うよね。暁優梨が死んだ翌日に、夏君が事故死した………“偶然”にしてはできすぎてる。川海女医の異能は無敵だ。だけど夏君がいなければ意味がない。だから闇組織は、夏君を狙った。川海女医は闇組織に大事な娘を奪われる前に、自分の手で殺ったんだ」
沈黙が落ちた。
誰も何も云わなかった。乱歩さんも、与謝野さんも、私も。
ただ、静かに、乱歩さんの言葉の意味を考えていた。
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茉里 - ありがとうございます!続編もじゃんじゃん更新しますので……よろしくお願いします! (2019年6月4日 19時) (レス) id: 0903b0c425 (このIDを非表示/違反報告)
ク レハ(プロフ) - 完結おめでとうございます!続編のほうも応援させていただきます!! (2019年6月4日 18時) (レス) id: ddd19fa939 (このIDを非表示/違反報告)
カゲロウ(白ヰ迷ヰ戌)(プロフ) - ええ!勿論です! (2019年6月3日 18時) (レス) id: 26ee7c4c14 (このIDを非表示/違反報告)
茉里 - 最後まで読んでくださってありがとうございました!新作書いたらまたよろしくお願いします! (2019年6月3日 17時) (レス) id: 0903b0c425 (このIDを非表示/違反報告)
カゲロウ(白ヰ迷ヰ戌)(プロフ) - 完結おめでとうございます! (2019年6月3日 17時) (レス) id: 26ee7c4c14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茉里 | 作成日時:2019年5月27日 21時