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池田屋 ページ19

貴「...。」
土「伝令、ご苦労だったな。俺達が先手を打てるのはお前の手柄だ。」
褒められるなんて思わなかったから、何だか妙にくすぐったい気分。
裏通りから表通りにでると副長は辺りを確認しながら足を止めた。
貴「...あの、副長。なぜ大通りに出たんですか?」
土「憶病風吹かすような連中は目立つ事しか頭にねぇって相場が決まってるんだよ。」
貴(そういう事か)
その時音もなく唐突に山崎が現れた。
山崎は1度だけ私に視線を向け、すぐに副長の方へ向き直り通達の報告をした。
土「腰の重てぇ役人どもは新選組の副長が直々にあいさつしておく。」
涼やかな瞳の奥を、怒りに似たものがちらついた。

副長の読み通り、役人達は列を成して大通りに現れた。
百を越えると思える行列が通るのだから裏通りでは狭すぎる。彼らの悠々とした歩き方を見ていると無償にイラつき、同時に悔しさがあった。
貴「皆は今も池田屋で戦っているのに...。」
新選組の皆は少ない人数で京の治安を守るため命がけで戦っている。その目的は役人だって同じはず、なのに急いで駆けつけてこない。
そんな不満が表面に出ていたのかもしれない。
副長は私を見ると切れ長の瞳を細めて淡く笑った。
土「安心しろ。新選組を奴らの良いようにはさせねぇ。」
大勢の役人の真ん前に副長は1歩踏み出す、ただそれだけの仕草なのに一気に威圧感が滲み出たように思える。
土「局長以下我ら新選組一同、池田屋にて御用改の最中である!一切の手出しは無用。池田屋には立ち入らないで貰おうか。」
山崎が隣でぽつりと呟いた。
崎「もし池田屋に立ち入ることを許せば、長州浪士制圧すら彼らの手柄とされるだろう。」
貴「それだけ、新選組は軽んじられている、という事か。」
池田屋に踏み込む事を許せば、その事実だけを強調しかねない。
実際に突入した新選組の武勇も無かったことにされかねない。
だからこそ介入を封じているんだ...副長の「先手を打つ」と言っていたのは役人に対しての事だったんだ。

戦闘が完全に終わりを告げるまで、彼は役人達を池田屋へ近づけなかった。

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咲耶(プロフ) - 薄桜鬼☆ハルハルさん» 完璧だなんてお恥ずかしい(///_///)ありがとうございます!よろしければ他の作品もよろしくお願いします! (2018年2月4日 18時) (レス) id: 5d27d89fab (このIDを非表示/違反報告)
薄桜鬼☆ハルハル - 話も面白いし、絵も上手い完璧すぎます!(≧∇≦) (2018年2月4日 15時) (レス) id: 5848c8507f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:咲耶 | 作成日時:2017年4月10日 20時

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