第20話 ページ20
「その時は、武州に帰りますかね」
そう言った奴は桂小太郎の密偵。そして真選組の密偵という中途半端な立場の男である。
「帰るったって指名手配されるだろ、どう考えても」
「じゃあなんでどーすんだって聞いたんですか!!バカ!!土方さんのバカ!!」
「一応聞いただけだ!!!テメーのことだからよからぬ事でも考えてたと思ったんだよ!」
「総悟兄と俺は違います〜!!!!」
ギャンギャン騒ぎ出すと近藤さんが「まぁまぁ」とたしなめて来るが、2人は止まらない。
「何より!!総悟兄と同じ扱いとかやめてくれませんかね!!!兄はやんちゃですけど、俺はわんぱくなので!」
「どっちも対して変わんねーじゃねーか!!つーか、やんちゃもわんぱくもどっちも問題児だわ!!」
沖田兄弟は結局問題児だった。
あの姉にあの弟あり、あの弟にこの弟ありである。
「じゃあ武州に帰ったらパンケーキでも作って暮らせやバーーーカ!!!」
「トシまで興奮してどうする」
「俺はこの気に食わねぇガキが嫌いだ!!」
「トシ、落ち着けトシ」
「タカアンドトシ!」
「誰がタカアンドトシだコラァ!!!」
土方さんは気持ち悪いぐらいに興奮して叫んでいた。
総悟兄もいつもこの人といるのは大変だな、と聞かないでいた。
それと共に、あの兄が
ひとりぼっちだった兄がここまで名前を引き出させるぐらい仲の良い人達に囲まれて少しだけ羨ましく思ってしまった。
これなら、俺が居なくなっても。
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作者名:のろすけ | 作成日時:2022年6月22日 7時