第17話 ページ17
「フハハハハハ!流石は俺の密偵だな!うむ!」
桂さんは泣き止んで笑った。煩い。
「だがな、沖田マザーテレサ。何方のスパイとなればいつかは覚悟しなければならぬ時がくる。お主ならどちらを選ぶのか。もし、どちらかを選べばどちらかを裏切るという事だ」
「・・・分かっています」
「まぁ、“今”は敵対同士!!捕まる訳には行かんのでな!!!」
そういうと彼は刀を俺に向けた。
顔は笑っていても目は笑っていない。
「撃てぇぇえええ!!!」
その途端、目の前が暗くなった。
それと同時にグイッと何者かに引っ張られ壁に激突した。
「てめぇどこに行ってたんでィ!!」
「総悟・・・兄」
「つーか、お前・・・桂と繋がってたとはいい度胸じゃねーか。あとで土方さんに報告だな」
「・・・・・・そ、それはやめてくれ」
「なんでさァ今更。スパイのくせに何言ってるんでィ。普通なら俺はお前を斬ってるんだが」
「・・・・・・・・・ごめん」
「お前・・・本当は桂のとこのスパイなんだろ。やめてねーんだろ・・・どーすんだ。この先」
「・・・・・・それは、俺が上にバレるかもしれないってこと?」
「それもそうだが、お前がその中途半端な立ち位置にいたらお前の命が危なくなるだろィ」
「俺は別にそれでもいi」
「俺は良くねぇんだよ」
総悟兄は昔から俺を可愛がってくれていた。
武州を離れ、姉上と俺を置いていく時も。
姉上には伝えていたのに俺には・・・何も言わず。
「・・・・テメーがもし、早めに決断しねぇと俺はお前を助けられないかもしれねぇって事は覚えとけ」
総悟兄はそう言って、俺の傷ついた頬を優しく撫でた。
3人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:のろすけ | 作成日時:2022年6月22日 7時