第14話 ページ14
ただひたすらに時を待つ。
正面口の近くの建物の瓦からシャッターで閉められた倉庫を見る。
ここの倉庫にいる攘夷志士はまだ真選組が来る事を知らない。というか、この場所を知られてはいないと思っているようだ。職場の雰囲気はとても緩やかで正常である。
門番も2人だけ。真選組がこの後来ると分かっていれば厳重に対応するだろう。
「よし」
俺はそう思うとトランシーバに手をかけた。
そして、合図をだす。今の状況を伝えるだけ。
ワァアと声がした。突入したみたいだ。
その声は段々と遠ざかっていく。
銃声が聞こえる。
倉庫正面の門番もアタフタして中を確認しようとシャッターを開けている。
ゆっくりゆっくりシャッターが上に上がっていく。
俺はそれを待っていたかのように口に黒い布でマスクをし、正面口に降り立った。
「っくそ!シャッター早く上がっ」
「御用改めである。神妙に・・・・・・お縄についてもらおうか!!」
「っく!!こっちにも真選組だぁあああ!」
俺は門番2人を斬り、息の根を止める。
そして、返り血を浴びたが気にせずシャッターが開くのを待つ。
向こうから逃げてきた攘夷志士達。
そして正面に立つ俺を、ポタリポタリと落ちる血を見て絶句した。
それは向こうから走ってきた隊士達も同じ。
まだ数日しかいなかった奴の迫力に足を止めてしまった。
「沖田マザーテレサ、何故ここにッ!」
「あっ!パンケーキのおっちゃんじゃねーですかィ!!やっほーー!!」
「やっほーー!!じゃねぇから!!なんでここに居んのか聞いてんの!!!」
「だって、密偵なので!潜入しなきゃと思いまして!」
「は?」
その大声での会話に攘夷志士と隊士は目をぱちくりする。
「副長、これどういう事ですか」
気づいた密偵ことジミーこと山崎退は焦りながら土方さんに聞いた。
「・・・・・・」
Aに目を向けると彼はパンケーキ男に信じられない程の冷たい目線を送っていた。
絶対零度の目である。
「おっちゃんが教えてくれたんでしょ?」
「あれは普通に食べたかったやり方だ!!これとは関係ない!!」
「そっか!!ごめん!!!!」
「いいよ!!!!!」
「「はい!現場にお返しします!」」
「いや、やりにくいわァァァァァァ」
元気よく言ったのに怒られたよ。
怒られたしあのテキトーなダジャレみたいなやつはマグレだったよ。
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作者名:のろすけ | 作成日時:2022年6月22日 7時