23話・夢から覚める ページ23
『いやだ…ッ…A。私を見捨てないでくれ…ッ』
「〜ッ!?」
突然、ポロポロと泣き出した夏油くんの姿にギョッとした。そして、抵抗する力を緩めてしまった。
『なぁーんて、隙だらけだね』
すると、その勢いでグイッと引っ張る力が強くなって、肩半分まで引き摺り込まれた。
そして、画面越しにこちらを見る夏油くんの表情は先ほどの泣き顔は何処へやらニィと口角を歪めて憎たらしく笑っていた。
『リセットボタンなんて押させない。君はこっちに来るんだッ!!!』
その言葉にはっきりした思い。それは、あちら側の世界に行くことではない。
「〜ッ嫌だ…ッ!!!私はこの世界にとどまる!』
思いを叫んだ途端にパッと引っ張る力が離れた。ズルりと画面から引き摺り込まれた腕が抜ける。
画面には夏油くんを思いっきり突き飛ばした硝子ちゃんの姿。
『A!リセットボタンを押して!』
その言葉に電源ボタンに手を伸ばした。
『やめろ゛ぉぉぉぉぉぉッ゛!!!』
夏油くんのその怒鳴り声と共に電源ボタンを押してプツリと真っ暗な画面になった。
「はぁ…はぁ…ハッ…ハハッ…」
終わった。何もかも。
今までの一連の流れが、ただの夢ならよかった。けど、テレビの割れた画面が実際に起こったことだと証明した。
そう思えば急に怖くなった。
すぐにゲーム機からカセットを取り出して、箱にしまい、そのカセットを買ったショップへと駆け込んだ。
「いらっしゃいま…「このゲーム返却します!!お金は入りませんから!!!」
「お客様!?」という店員の声を無視して飛び出した。
これでもう関わることはないだろう。ただの乙女ゲームだと思った。推しが実装された新しいものを誰よりも1番に手に入れたと心の底から喜んだ。
そこで本物の夏油くんと出会って楽しかった。会話できた時なんて夢のようだった。
だけど、現実となってしまえば全然思い描いていたものと違った。危険なものだった。関わってはいけない世界だったんだ。
なら、もうこれから先、一生関わらない。そう、心に誓った。
「お母さん、ただいま」
「あんたまたゲーム買いに行ってたんでしょ!いい加減、ゲームするのはやめなさい」
「もうしないよ。あんなの」
「また口答えして…って…え?あんた、どうしたの。何かあった?」
何かあったとと聞かれても口に出していえない。でも、これだけは言える。
「ただ、夢から目が覚めただけだよ」
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Omiso(プロフ) - shiorichanさん» さすがですね〜(笑)相当のヤンデレ好きだということが伝わってきます!私もプレイヤーなら3を選んでいましたね!なのでお仲間です(笑)最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年2月28日 20時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - shiorichanさん» こちらでもコメントありがとうございます!はい!私が描きました!ヤンデレ最高ですよね🤤イラストを褒めていただくことはあまりないのでほっんとうに嬉しいです😆 (2022年2月28日 20時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
shiorichan(プロフ) - 最後のところ私だったら3を選んでバットエンドに突っ込みまス☆ヤンデレ大好物なので−❤ (2022年2月28日 20時) (レス) id: 36ddcc805a (このIDを非表示/違反報告)
shiorichan(プロフ) - 最後のイラストってOmisoさんが描いたんですか❓❗ヤンデレな夏油で目が離せない…😍😍 (2022年2月28日 20時) (レス) id: 36ddcc805a (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» うわん、緑の白猫様!コメントありがとうございます!このお話を書く上で全て意識したことを褒めて下さって本当に嬉しく思います!この嬉しい気持ちを上手く文に表せず歯痒いです(泣)五条の落ち込む表現は力を入れました(笑)本当にありがとうございました! (2022年2月7日 0時) (レス) @page11 id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2021年12月29日 10時