22話・リセットボタン ページ22
「硝子ちゃん…ッ…!」
『めんどくさいことになってんね。あんたのこと嫌いじゃないよ?けど、ここまでのことに巻き込まれるのは正直気が引けた』
姿は見えない。けど、夏油くんには見えているのか横に顔を向けてそちらの方を睨んでいる。
『硝子、てっきり来ないかと思ってたのに。なんだい?私の邪魔をするのか?』
『…ハァー、夏油。ここまで術式の影響受けてるとは思わなかったけど。今更どうにもならないか』
『術式?ハハッ…この思いが術式の影響だって言いたいのかい?違うよ。Aのことを心の底から大好きなんだ…ッ…止められないんだ。そうだ!硝子、Aをこっちへ連れてくるよう手伝ってよ。君だってこの世界で本物の女友達欲しいだろ?』
その言葉に思わず息を呑んだ。今は夏油くんの腕だけがテレビから伸びていて辛うじて抵抗し続けていられるけど、硝子ちゃんの力が加わったら私は完全に引き摺り込まれる。
けれど、硝子ちゃんは手を伸ばしてこなかった。そして、私に言葉を投げかけた。
『安心しな。A。そこまで私は落ちぶれてない。けど、私から直接は手助けをすることもできない。ただの友達止まりだからそこまでの手助けする気力がどうしても湧かない。システム上仕方がないって分かってほしい。でも、アドバイスなら出来る』
次に発せられた言葉は、あまりにも予想外のものだった。
『今すぐゲームのリセットボタンを押したらいい。あんたは絶対に助かるよ』
「リセットボタン…」
そのボタンは私の手の届く範囲にあった。そう、ゲームの電源さえ落とせばいいんだ。
『なっ、リセットする気か!?』
夏油くんは動揺してはギリッと私を掴む手の力を強くした。
『そんなことしたら君はもうこのゲームをできなくなる!こうやって互いに出会ったことも奇跡だというのに!もうこれから先、絶対にありえない。そんな機会をみすみす逃すのかい?ねぇ、A!!私は君のことが大好きだ。君も私のことが大好きじゃなかったのか!?』
「ッ…」
たしかにリセットボタンを押せば、偶然に作られたあちら側の世界との繋がりは切れてしまうだろう。
夏油くんとこうして話せることも出来なくなるんだ。
それでも、私はリセットボタンを押そうとした。すると、ポタポタッと雫が落ちる音。
『いやだ…ッ…A。私を見捨てないでくれ…ッ』
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Omiso(プロフ) - shiorichanさん» さすがですね〜(笑)相当のヤンデレ好きだということが伝わってきます!私もプレイヤーなら3を選んでいましたね!なのでお仲間です(笑)最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年2月28日 20時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - shiorichanさん» こちらでもコメントありがとうございます!はい!私が描きました!ヤンデレ最高ですよね🤤イラストを褒めていただくことはあまりないのでほっんとうに嬉しいです😆 (2022年2月28日 20時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
shiorichan(プロフ) - 最後のところ私だったら3を選んでバットエンドに突っ込みまス☆ヤンデレ大好物なので−❤ (2022年2月28日 20時) (レス) id: 36ddcc805a (このIDを非表示/違反報告)
shiorichan(プロフ) - 最後のイラストってOmisoさんが描いたんですか❓❗ヤンデレな夏油で目が離せない…😍😍 (2022年2月28日 20時) (レス) id: 36ddcc805a (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» うわん、緑の白猫様!コメントありがとうございます!このお話を書く上で全て意識したことを褒めて下さって本当に嬉しく思います!この嬉しい気持ちを上手く文に表せず歯痒いです(泣)五条の落ち込む表現は力を入れました(笑)本当にありがとうございました! (2022年2月7日 0時) (レス) @page11 id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2021年12月29日 10時