夏油くん！と恋愛シミュレーションゲーム【呪術廻戦】

11話・人を選ぶって残酷だね ページ11

『ありがとう！君なら私を選んでくれるって思ってたよ』


『えへへ』と嬉しさを隠さない笑顔は可愛い。うん、可愛い。が、隣の五条くんの顔を見て！？すっごい顔を引き攣らせてて落ち込んでる。罪悪感すごいんですけど！

しかし、そのことに気付かない夏油くんは真っ直ぐにこちらを見つめて、


『私が誘ったからにはAちゃんを楽しませなくちゃね。明日の行き場所は任せてくれないかい？楽しみにしていて』


ちょっ、勿論楽しみにするけど落ち込んでいる五条に追い討ちをかけるようなことしないで！？せめて二人きりになった時に言って！？


『…俺、先帰るわ』


すると、五条はぶっきらぼうにそう言って帰ってしまった。頭上の好感度はもちろん0%のまま。

そして、2DAYはここで終了した。


「乙女ゲーってこんなにキツい選択するゲームだっけ」


ゲームと割り切ったとしても去り際の五条の顔を歪ませる表情、瞼を伏せて目を逸らす仕草が妙にリアルだった。

3DAYの夏油くんのお出かけを取り付けることができたという嬉しさがある反面、気が重い終わり方だった。


「いやいや、私がゲームに入り込みすぎなだけか」


それほどまでゲームのクオリティーが高いのもある。だから余計にゲームに私は感情移入をしすぎちゃうんだ。うん、そうだよ。それでいちいち自分の選択でへこんでいたらキリがない。


よし！気持ちを切り替えて3DAYもやってしまおう！


次は夏油くんとの完全に二人きりのお出かけ！っていってもどこが舞台になるんだろ？

new！と表示された3DAYのファイルを開けば画面は、ざわざわと人混みの風景。後ろにはショッピングモールが映っていた。そして、


『おまたせ、Aちゃん』


画面の端から聞こえて、現れた夏油くんは私服だった。

紺色のカッターシャツを軽く腕を捲って手首にはシンプルな腕時計。そして、ベルトで腰を引き締めて黒のズボンを長い足で履きこなし統一されたシンプルなスタイル。


「…ブフゥ！」


興奮で鼻と口から血が噴き出した。休日にお出かけだから私服姿を拝めると予想はしてたけどこれほどの破壊力があったとは…ッ

ジーッと血を垂れ流しながら次に進まずに画面を見てみるとふと夏油くんは頬を染めて


『そんな見つめられると照れるな。ほら、早く行くよ』


プイッと顔を背けて耳を赤くする姿。


「…」


黙って血涙しながら次のボタンを押した。ゲームの製作者よ。オプションサービスありがとう。

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