22話 ページ22
車に揺られながら携帯の通知を見てみるとギョッとした。ココからの不在着信がずらりとならび大量のメール。
「どこ行った」「誰といる」「頼むから返事をくれ」と後になるに連れて心配する言葉ばかりだった。
それを見て罪悪感が募り返事をしようとするとヒョイっと携帯を取られた。それをしたのは隣にいる春ちゃんしかいない。
「九井がこんな心配するなんてよっぽどですね。オレから事情を話しときますよ」
私の携帯でココに電話をしようとするので慌てて奪い返す。春ちゃんが出たら余計話がややこしくなる。
「私が勝手に出て行っちゃったから自分で事情を説明して謝るよ」
メールの返事を打とうとすれば、ガッとその手を掴まれて携帯を遮るように顔を寄せられた。
「なんで?」
「え」
「なんで無理矢理閉じ込めた奴を信用するんです?」
意味分からないと首を傾げてグッと距離を縮めてくる
「謝らなくていいですしソイツの所なんか帰らなくていいんです。そうだ!オレがお嬢のこと匿います。いい提案だと思いません?」
ニコッと目を細める春ちゃんになんともいえなくなる。それはそれで違うような…
確かにココが私を閉じ込めたことは一理あるけど思い返せばちゃんと話し合っていなかった。一方的な決めつけはよくなかったと今更だけど思うんだ。だから、
「春ちゃんありがとう。けど、気持ちだけ受け取っとくよ。私、ちゃんとココと話をしたいから」
そう返すと、しばらく沈黙に春ちゃんはスッと顔を引いて前を向くや否や聞こえてきたのは舌打ち。
「…そうですか。お嬢はほっっっんと馬鹿みたいに優しいですね。笑えるぐらいには」
冷たい声に嫌味ったらしく言われたような気がした。
突然のことに驚いて隣を見れば、横顔からは何も読み取れない程の無表情。
「え…は、春ちゃん…?」
あまりの態度の変わりように服の袖を引っ張ってみた。すると、ぐるりとこちらに向いた顔は
普段のように目を細めた笑顔に戻っていた。
「どうしましたか?あ!何かあった時はいつでも頼って下さいね。そのために連絡先交換しときましょう」
はい、と出された携帯。何事もなかったような態度にただ戸惑う。私の見間違い?でもそんなことあるわけ…ッ…
「お嬢?どうされたんです?」
変わらない優しい態度に眉を下げて心配そうに私を見つめてくる。
「ううん。何でもない…連絡先、交換ね!」
さっきのは気のせいだと言い聞かせて互いの連絡先を交換した。
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Omiso(プロフ) - 十六夜夏希さん» コメントありがとうございます!好きだと言っていただけてとても嬉しく思います!また、書き終わってしばらく経った今でもこうしてコメントを頂けること幸せです!本当に最後まで読んで頂きありがとうございました! (2022年4月30日 14時) (レス) @page38 id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜夏希(プロフ) - マイキーが春千夜を見放す(?)のって珍しいですね!言葉では表せないくらい好きです。お疲れ様でした!! (2022年4月30日 13時) (レス) @page39 id: cc6ab814ba (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - ゆゑるさん» コメントありがとうございます!わわっ!たくさん褒めていただいてとても嬉しいです😊何より貴方様を楽しませられたことが作者にとって一番の幸せです😭本当に最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年4月12日 8時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゑる(プロフ) - うわぁぁぁ!!今読み終わったんですけど、最高ですっ...!作者様の表現の仕方からもう素敵でした😭めちゃくちゃ面白かったです!!!!! (2022年4月12日 1時) (レス) @page39 id: 1d05848943 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - yumuiさん» コメントありがとうございます!隠れ主人公!確かにそういった捉え方もありますね…貴方様の発想に驚かされました。作り手としてしっくりときたお言葉をいただいて嬉しく思います。最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年3月7日 16時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2021年10月16日 17時