41話 ページ42
あれから人々の騒ぎを収め、引退の件に対応した。
キバナさんが手助けしてくれたおかげでスムーズにことを進めることが出来た。
だけど、そこには当然ダンデさんの姿はなかった。いつも隣に立ってくれた彼の偉大さが分かった。
そして、反対の声も相変わらず多かったが、賛同の声も半々で私の引退は正式に認められた。
旅立つ当日_______
私一人で旅立とうとしていた。草木が靡くあたり全体を見渡す。よく通ったワイルドエリアともお別れ。
ここで旅立つなんて誰も予想しないだろう。
そう思っていたのに…ザッと後ろから足音がした。
「よぉ。黙って行くなんて水くせぇーな」
「!キバナさん。なんでここが…ッ」
「急に連絡途絶えていなくなったからだ…たく。それにここはAの思い出の場所だろ?」
「…全部お見通しでしたか」
そう、ここはかつてバトルタワーから逃げ出して泣いてた私をキバナさんが見つけてくれた大きな木の下。
「それより住民に今日旅立つこと伝えなくていいのか?伝えたら多くのやつが見送ってくれるぜ」
「いいんです。静かに旅立とうと思ってましたから…まぁ、キバナさんが来てしまったんですけど」
「ハッ、それは悪かったなぁ?本当は嬉しいくせに」
「生意気な奴」とぐしゃぐしゃと頭を撫でてくる彼に抵抗するも、このやりとりに懐かしさを覚えた。
「もうやめてくださいよ!そろそろ行きますから!」
言葉の裏腹に名残惜しさを感じる手を払ってムゲンダイナの背に跨ろうとした。だけど______
「…ッ待ってくれ」
手首を引っ張られて真正面からボフッと彼のパーカーに埋もれた。
「!?キバナさん、何やって…!」
顔を上げれば間近に目と目が合った。涼しげな瞳の色と反して熱が籠った瞳に逸らせない。
「分かってるくせに。何もかも…ッ…」
スルリと頬に手が添えられて、互いの距離が近づく。
「嫌なら…拒んでくれ」
弱々しい声にらしくない表情をする。そんな彼を拒むことは出来なかった。拒む理由も…なかった。
そのまま目を閉じて唇に温かく柔らかいものが触れた
しばらくして離れた彼は頬を赤く染めながらも複雑な顔をした。
「結局、最後まで兄貴面出来なかった。ハハッ…我慢するって決めてたのになぁー」
ハァーとため息を漏らしてから笑いをする。だけど、ふと私の方を見ては泣きそうな表情で
「なぁ、A。俺は…ッ…期待してもいいのか?」
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Omiso(プロフ) - 天音さん» コメントありがとうございます!キバナさんだけでなく、夢主まで褒めていただいてすっごく嬉しいです!それに神作だなんて…本当に勿体無いほどの素敵な褒め言葉に感激です!本当に最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年5月7日 8時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
天音 - 最高でした…!!✨とても感動しました!キバナさん カッコいい…。夢主も カッコ可愛いい…!!!神作品!! (2022年5月7日 0時) (レス) @page44 id: c80b266ed1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます!キバナのかっこよさにとても力を入れたのでそう言っていただけて嬉しいです!神作品だなんてそんな!私には勿体ないお言葉…感謝の気持ちで胸がいっぱいです!本当に最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年2月5日 0時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 自分ダンデさん推しだったけどこの作品を見てキバナさんもメッチャ好きになりました!!!これはもう神作品としか、言いようがありません!! (2022年2月4日 23時) (レス) id: 6b19049b00 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - きいさん» コメントありがとうございます!貴方様のお言葉にホッとしました。この作品を書いてよかったです!最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年1月3日 0時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2021年8月10日 1時