9話 ページ9
貴方サイド
(一日目)
夏油先輩からアドバイスをもらった次の日。
「Aー、今日も構えよ」
何処となく現れる五条先輩は後ろから抱きしめてきて、引き寄せられる。
ここでいつもだったら突き放すか、逃げるかどちらかだけど
「(悟には積極的になること。いいね?)」
脳裏に浮かぶ夏油先輩のアドバイスに心を決める。
この機に意識してもらうんだ。いつまでもおもちゃのままでいたくない。
スッと息を吸い込んで、振り返り真正面にある五条先輩の瞳を見つめて
「…い、いいですよ。悟先輩、何しますか?」
すると、カッと驚いたように青い瞳が見開く。
「…は?」
固まる先輩に内心ビクビクしながら次の言葉を待っていると、スッと離れる抱き締められていた腕。
そして、特に何も言わずにスタスタと私を置いて何処かへ行ってしまった。
「?…これは上手くいったのかな」
分からない。だけど今まで見たことない反応見れたからいいのかな。放課後、夏油先輩に報告してみれば分かるか。
そう自分に言い聞かせるものの不安が拭えなくて、それからは何も手につかずに何処か上の空だった。
キーンコーンカーンコーン
そのチャイムとともに一日の授業が終わり、教室で待っているとガラガラと開く扉に「やっ」と手を上げて入ってくる夏油先輩。
隣に座る夏油先輩に早速五条先輩の反応について話をすると
「よくやったよ、Aちゃん。だから悟の様子が変だったんだね」
「え、変化ありましたか?」
「もちろん。すごく動揺してたよ。そっか、それはAちゃんの勇気を出した成果だね。偉いよ」
スッと頭に手を伸ばして撫でてくる夏油先輩。事あるごとによく撫でてくれるなと思いつつ、
五条先輩がやっと意識くれたと思えば嬉しくてヘラリと笑みが溢れる。するとピシリと固まる夏油先輩。
「…あ、えっと、どうしました?」
「いや、Aちゃんの笑顔を滅多に見ないから驚いて。そうやって日頃笑ってるほうがずっといい」
「そうですかね…なら五条先輩の前でもなるべく笑顔でいたら…「それはダメだ」
「え?」
矛盾した言葉に首を傾げる。「なんでですか?」と聞いてみるものの、結局応えてくれずはぐらされた。
夏油先輩なりの考えがあるのかな。やっぱり恋は難しい。
「Aちゃん。さっそく二つ目のアドバイスをしようか」
「!はい、お願いします」
次はどんなことをすればいいのだろうと期待と不安を胸に夏油先輩を見つめた。
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Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» 前作でも今作でもコメントありがとうございます!ドロッドロという素敵な褒め言葉、最高に嬉しいです!心情は特に意識しているのでそう言って頂けて光栄に思います!次回作を出せれた時はぜひ応援よろしくお願いします!最後まで読んで下さりありがとうございました! (2021年4月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - ドロッドロでおっもい(超褒め言葉)好み過ぎる作品をありがとうございました! 前作も読ませて頂きましたが、どちらも心情描写が堪らなく好きです。作者様のペースで新しい作品を作って頂ければ飛びつきます。本当にありがとうございました。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - ノアさん» 最後まで読んで下さりありがとうございました!いつもは今までの作品も読んで下さっていたのかな?今作も読んで頂き嬉しい限りです!世界観を味わってもらうよう文は意識しているのでハラハラしたという感想を頂けて大満足です!今後とも応援よろしくお願いします! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - muuさん» muu様!またのコメントありがとうございます!そして最後まで読んで下さりありがとうございました!憧れである貴方様に素敵な褒め言葉を頂けて感涙してしまいそうです(泣)いつも影ながら応援しています!そしてこの作品を応援して下さり本当にありがとうございました! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 虹野原さん» そして貴方様のような素敵な方に読んでもらえて心の底からこの作品を作ってよかったと思います!今後においてまた作品を作る機会では貴方様の応援を糧に全力で頑張ります!本当にありがとうございました! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2021年2月6日 18時