気づいた時にはもう遅いから【呪術廻戦】

18話 ページ18

貴方サイド


涙を拭ってくれた温もりは、見上げれば一瞬で失われ離れていく。


「…ッ」


追うように見つめれば、五条先輩はなんとも言えないような顔でこちらを見ては目を逸らした。

まるでもう見たくないとでもいうような。

そして、先ほど私に触れた手が微かに震えているのが見えた。あぁ、貴方は…


「そんなに私のことを見たくないですか？」


前まであんなに目を合わせてくれたのに今となっては目を合わせてくれず


「そんなに私と向き合うのが嫌ですか？」


前まであんなに私と向き合ってくれたのに今となっては向き合ってもくれず


「そんなに私に触れるのが怖いんですか？」


前まであんなに沢山触れてくれたのに、それも無くなって、そんな顔も、そんな冷たさもなかったのに。


「なんでですか…先輩…ッ」


そう呟けば、俯いていた顔があがってそこには嫌悪と恐怖が入り混じった表情で顔を歪ませる先輩の姿。


「全部その通りだから！！！まずお前が…ッ…お前が変わったのがいけないんだよ！！！前みたいに無表情でいろよ、興味ないようにしろよ、俺のこと好きみたいな態度とんなよ！！！」

「〜ッ…」


好意を表に出せば貴方がそんなに拒絶するとは知らなかった。

なら、今まで貴方が見つめてくれていたのも、向き合ってくれていたことも、触れていた温もりも、

貴方が好いていたのはずっとずっとお気に入りのおもちゃのとしての私。


でも、それはどこかで分かっていた。


だけど、その私を好いてくれる貴方の仕草も、クシャリとした笑顔も、意地悪な言葉も好きで堪らなかった。堪らないの。

だから、女の子として意識もらおうと努力して。でも、逆効果で。

好きという想いが少しでも伝わるようにして。でも、拒絶されて叶わなくて。

それでも、一生このままの関係で満足できないのは私のわがままなのかな…ッ…


＿＿＿＿いや、違う。わがままなんかじゃない！！！自分の気持ちに従って何が悪い。


私は嫌だ。このまま貴方の都合の良いオモチャなんて。

先輩、貴方が好き。どうしようもなく。後輩なんかじゃない。女の子として、異性としてみて欲しい。

だから聞いてよ、見てよ、触れてよ。最初から目を逸らさないで、拒絶しないで。

そのためなら私は何度だって言葉を繋げるから…だから…ッ…！！！


「五条先輩…ッ…私は…！！！「Aちゃん？！」


遮られた言葉に振り返る。そこには夏油先輩が慌てたようにこちらに駆け寄る姿があった。

19話→←17話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す