12話 ページ12
貴方サイド
(二日目)
「今日は五条先輩の腕に抱きつく…か」
出来るかな…そんな大胆なこと。頭の中でイメージを繰り返しながら廊下を歩いていると早速、前から五条先輩とその隣には夏油先輩の姿。
「あ、Aちゃん。おはよ」
「…」
「おはようございます。夏油先輩に…さ、悟先輩」
挨拶してくれたのは夏油先輩で五条先輩は何も言わない。いつもだったら真っ先に「A!」と呼んでくれるのに。
気になってチラリと見るとバチリと五条先輩と目が合う。だが、すぐにサッと逸らされてしまった。
思っていた反応と違う…不安になり夏油先輩を見ると口パクで「(照れてるんだよ。ほら昨日教えたことやって)」と促してくる。
本当に照れてる…のかな。それなら意識してくれてるってことで間違いないんだよね。
よし、じゃあこの調子で!と勢いで五条先輩の長い腕をとって自身の腕を絡ませてみる。突き放されはしなかった。ならこのまま甘え上手な女の子みたいに
「なんで挨拶してくれないんですか?…寂しいです」
バクバク高なる胸を抑えるようにギュッとより強く腕に抱きついて、恐る恐る五条先輩の顔を見上げると
つまらなそうにこちらを冷たい瞳で見下ろしていた。
「え…」
思わずスルリと腕をほどき離れる。すると、白い髪を乱雑にかき上げては深くため息をつき
「なぁ、お前…なんか悪いもんでも食った?」
「いえ、別に何も…」
「ふぅーん、あっそ」
素っ気ない態度と声音。もう興味がないというようにさっさとその場から歩き出し
「傑、俺先教室いくわー。朝からくっそ気分悪いし」
それから一度もこちらを見ることなく行ってしまった。
ただ立ち尽くす。あれ?私ちゃんと夏油先輩のアドバイス通りうまく行けていたよね。
それなのに求めていた結果と違う。逆にあんな風に冷たく見られたってことは嫌われたんじゃ…ッ…
ズキズキと胸が痛んで、あんなことをした後悔に目元が熱くなる。
「Aちゃん」
その声に顔をあげれば夏油先輩がまだ私の側にいてくれていた。だけど、嬉しくなんてなかった。
先輩のアドバイスのせいでむしろ良くない方向に進んだことに対してカッと頭に血が上り
「嘘じゃないですか!?あんな冷たい目で…見られて私もう嫌われましたよ!!!」
そう当たってしまったことにすぐにハッとなり、すいません と謝ろうとすると夏油先輩は眉を下げて
「謝らないで。君は少し誤解をしているだけだから」
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Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» 前作でも今作でもコメントありがとうございます!ドロッドロという素敵な褒め言葉、最高に嬉しいです!心情は特に意識しているのでそう言って頂けて光栄に思います!次回作を出せれた時はぜひ応援よろしくお願いします!最後まで読んで下さりありがとうございました! (2021年4月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - ドロッドロでおっもい(超褒め言葉)好み過ぎる作品をありがとうございました! 前作も読ませて頂きましたが、どちらも心情描写が堪らなく好きです。作者様のペースで新しい作品を作って頂ければ飛びつきます。本当にありがとうございました。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - ノアさん» 最後まで読んで下さりありがとうございました!いつもは今までの作品も読んで下さっていたのかな?今作も読んで頂き嬉しい限りです!世界観を味わってもらうよう文は意識しているのでハラハラしたという感想を頂けて大満足です!今後とも応援よろしくお願いします! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - muuさん» muu様!またのコメントありがとうございます!そして最後まで読んで下さりありがとうございました!憧れである貴方様に素敵な褒め言葉を頂けて感涙してしまいそうです(泣)いつも影ながら応援しています!そしてこの作品を応援して下さり本当にありがとうございました! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 虹野原さん» そして貴方様のような素敵な方に読んでもらえて心の底からこの作品を作ってよかったと思います!今後においてまた作品を作る機会では貴方様の応援を糧に全力で頑張ります!本当にありがとうございました! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2021年2月6日 18時