46話 ページ46
「な…ッ…」
夏油は混乱した。五条の行動もそうだが彼女との間には強力な縛りがある。それがある限り彼女は誰のものにも…と思ったがハッとする。
そう夏油は縛りの中に最大のミスをおかしていた。
彼女が他の誰かに払われたときは共に死ぬという縛りを設けていたが、自身が死ぬときは彼女を巻き添えにする縛りはなかったのだ。
自分が使役するのだから私が死んだら彼女も一緒に逝くのは必然的だと
彼女が別の誰かに奪われるなんて想像もしていなかったのだ。
そのことに気づいた瞬間頭の中は真っ白になり、離れていく彼女の背中にヒュッと息が詰まる。
「そんな…やだ…だめだよ…Aッ…戻ってきてくれ…ッ…私と最後まで共にいてくれ…なァァ!!?」
後ろで必死に叫ぶ夏油の声なんて聞こえないように
新たに呪われた彼女は五条の元へと歩み寄り、抱きしめられた。
「A、おかえり。これからはもう戦わなくてもいい。だからずっと俺の側で穏やかに、共に過ごそう」
幸せそうに微笑む五条とその笑顔を見つめる彼女。そんな見つめ合う二人に呆然とし、夏油は涙を流す。
残っている片手で手を伸ばすが、二人には届かない。
そこにいるべきなのは私なのに…こんなことって…こんなことは…ッ…ありえない…ッ…んだ…ッ…
掻き毟りたくなるような嫉妬と喪失感に襲われる中、不意に彼女に向けていた青い瞳がこちらに向き
「これがお前の罰だよ。安心しろAは俺が大事に大事に…代わりに愛してやるから」
その目は暗く沈み狂っていた。その姿を見て夏油は目を見開く。そして徐々にボヤけていく視界の中、
あぁ、私もあんな風にAに必死で狂っていたのか
自分の狂気に今更気づいては最後まで彼女の事を想い続け、誘われる死へとそっと目を閉じた。
最終話→←45話「The chain of curses named love never stops」END
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Omiso(プロフ) - てんぎつね。さん» コメントありがとうございます。そう言われて実際自分でやってみたんですけど想像以上に痛いですね(笑) (2021年7月28日 23時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
てんぎつね。 - いや親指は反り返したら痛い (2021年7月28日 23時) (レス) id: 04fcd4138c (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - るりさん» るり様、コメントありがとうございます!貴方様のお言葉に嬉しさで胸がいっぱいです!そして、貴方様の作品を読ませて頂いております。今後の更新楽しみにしています!応援ありがとうございます!貴方様にも私からのエールを。 (2021年6月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - 最高な作品をありがとうございます。ほんとにその場にいるような臨場感や、細かく描かれる表現方法であっというまに読んでしまいました。これからも作品楽しみにしています! (2021年6月5日 11時) (レス) id: 82fe86bccf (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» コメントありがとうございます!読者様がゾクゾクするようなホラー×ヤンデレを感じて頂けていたらと思います!夏油の術式を上手く活かせることを目的にしていたので貴方様の褒め言葉本当に嬉しく思います!最後まで読んで下さりありがとうございました! (2021年4月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2020年12月17日 19時