36話 ページ37
何も見たくない、何も聞きたくない。
目の前の悲鳴も、わずわらしい怒鳴る声も、私を罵る声も。
全部全部、嘘であって欲しいと願うほどに。
「人を刺すなんて…A、あなた正気なの?!」
人を刺した?あぁ、そうだ。あの人を一時の憎しみから刺してしまった。
手を見れば、あの人の血で真っ赤に汚れている。
「今まで愛して育ててきたというのに…もうお前なんか愛せない!!!」
私を愛する家族はもういない。どこにもいない。
それに、家族以外の友達や彼氏…勝己だって…
こんな私を見ればきっと拒絶する。
何もかも終わってしまったんだ。
後戻りはできなくなってしまった。
私は、一般人ではない。この社会でいう凶悪な_____
「ヴィランの一人なんだ」
ポツリとこぼしたその言葉に突然ブワッと私を包み込む黒い霧のようなもの。
そして、グググッと呑み込むように後ろへと引っ張られる体。
自分の個性でもない。これが何かさえもわからない。
そんな私を見て、ただ驚いたように目を見開く両親たち。そして、助けようとする素振りもなくて…
それどころか、早くヴィランが逃げる と警察に電話をかけて通報している。
悲しみや怒りを通り越して笑えてくる始末。
「ハハッ、誰も私をもう愛してくれない」
ポロリと頰に流れる涙。この涙さえも誰も拭き取ってくれる人もいない。
そう思っていたというのに___________
そっと後ろから優しく抱きしめられ、頬に触れる温かい手。
「お前を誰も愛さないというのなら俺が愛してやるよ。なァ、A」
ハッと聞こえたその声に振り向くと、私が刺したはずのあの人の姿があって…
驚く間もないまま黒い霧の中へと引きずり込まれた。
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Omiso(プロフ) - ゆりさん» そして楽しみにしてくださっていたこと深く心から謝罪します。また、ヒロアカの作品を書く機会があれば是非その作品を楽しんで読んでいただけたらと思います。 (2020年6月27日 15時) (レス) id: 47426ab442 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - ゆりさん» 突然ですが、次回作のリクエストについてお伝えしたいことがありここでコメントさせていただきます。次回作についてですが、ヒロアカではなく他のもので書きたいものができてしまい違う作品を書くことにしました。リクエストに応えられないことをご了承ください。 (2020年6月27日 15時) (レス) id: 47426ab442 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - りんさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました!ゾワッとする場面が貴方様にとって作品の面白さになれていたこと本当に嬉しく思います!実は言うとバットエンドが好みでして…貴方様にはお見通しでしたか(笑)本当に最後までありがとうございました!! (2020年6月7日 9時) (レス) id: 47426ab442 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 完結おめでとうございます!ゾワっとする場面が多かったですがそこがまたこの作品の面白さで、とっても面白かったです!!!バッドエンドなのもOmisoさんらしさが出ていて私はすごく好きでした!最後まで本当にお疲れ様でした! (2020年6月7日 9時) (レス) id: 8a717e60ef (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - Omisoさん» 楽しみにしています!! (2020年6月6日 22時) (レス) id: ea414cb9ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2020年5月4日 22時