37話 ページ37
荼毘サイド
「なら俺もヴィラン連合には戻れねぇーな」
と自傷気味に笑いながら項垂れる。
だが、それほどまでに焦りはなかった。
ヴィラン連合に戻れなくても、このヒーロー社会を壊すことなら個人でもやれること。
それに、Aを道具扱いしたあの死柄木の元で動くなんてことはもうごめんだ。
ここが分岐点だったと割り切ればいい。
だとしたら、今俺がしたいことは何かと考えたときに浮かんだことはただ一つ。
不意に顔を上げて、彼女の瞳をジッと見る。
「なぁ、A。俺もお前もヴィラン連合に戻れない。ならいっそ＿＿＿＿ 」
と高鳴る心臓を抑え、言ってみた。
だか、そう言う俺に対して彼女はクスリと笑いながら
「いいかもね」
と答えた。
きっと冗談として受け止めているとだろう。
だが、俺は冗談でもなんでもなくて…
「A、俺はお前となら本当にどこまでも逃げて共に過ごしても構わないと思ってる」
本当に という言葉に彼女は冗談じゃないと気付いたらしく瞳を揺るがせていた。
「荼毘…それ本気でいっているの？」
「あァ、嘘でこんなこと言わねぇーよ」
「ッ…なんでそんな私に…」
言葉を詰まらせて、戸惑いながらも不思議そうに尋ねる彼女。
本当に鈍感なやつだな。
その鈍感さでどれだけ俺が振り回されてきたか…
わざとらしく溜息をつき、彼女の手を取りギュッと握りしめる。
「俺がこれからお前と共に過ごしていいというのも含めて、今までお前を死柄木から連れ出したのも、お前を真っ先にヒーロー側から迎えにいったのも、全部何でそんなことをすると思うか分かるか？」
「分からないよ。本当に…」
視線を下げて俺に握りしめられている手を見て、ふっと顔を上げて俺の方を困ったような顔で見つめる。
ここまでいってもわからねぇーとは。
それとも、気づかないフリでもしているのか？
どちらにしても俺はもうこの気持ちを閉じ込めることはしない。
お前にとって困らせることだとしても言うよ。
繋いでいた手をゆっくりと指を絡ませて、離さないように、逃げないように強く握りしめる。
今までもこれからもお前に対してきっと俺は無性の優しさを与え続ける。
だって俺はお前のことがずっと…
「好きだ、A。お前のことがどうしようもなく好きなんだよ」
長年のこの気持ちがやっと伝えられた瞬間だった。
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Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» わわ、緑の白猫様！今作でもコメントありがとうございます！ヒロアカの小説まで読んでいただけて感激です😭かなり納得した終わり方を書けたつもりなので貴方様からの最高の褒め言葉をいただけてとても嬉しく思います！本当にありがとうございました！ (2022年2月7日 0時) (
レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - はっぴーえんどだ……。私が知っている作者様の中の作品で初めてみたはっぴーえんどだ……! 主人公が初めからちょっと可笑しいのがまた新しく感じ、最終的にヒーロー側につくとはまた違う、正しくはないかもしれないが幸せな道を選んだのが最高でした! (2022年2月7日 0時) (レス) @page49 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - あゆりさん» コメントありがとうございます！1番好きだなんて…最高の褒め言葉です！死柄木くんの沼によりハマってしまいましたか。よっし、この調子だ()本当にこの作品を読んでくださりありがとうございました！今後とも応援よろしくお願いします！ (2020年5月16日 12時) (レス) id: 47426ab442 (このIDを非表示/違反報告)
あゆり(プロフ) - 今まで読んできた作品の中で1番好きです！！Omisoさんのおかげで、もっと死柄木くんの沼にハマりました()これからも応援しています！ (2020年5月16日 11時) (レス) id: ce98ce751c (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます！！本当に嬉しすぎるお言葉に喜びで胸がいっぱいです！また貴方様を楽しませる作品を作れたらいいなと思います！！今後とも応援の方よろしくお願いします！！ (2020年4月3日 7時) (レス) id: 47426ab442 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Omiso
| 作成日時：2020年2月10日 22時
