36話 ページ36
貴方サイド
「貴方をあの場で選ばないなんて選択肢ないよ」
これが、荼毘に一番伝えたかったこと。
「俺のことなんて忘れていると思っていた。それにお前を迎えに行っていいのかどうかさえ迷っていた」
そう言うと私を優しく下ろし、こちらを見つめる彼。
「だが、お前のその言葉を聞けて迷っていた過去の自分がバカみたいに思えるな」
先ほどの辛そうな顔とは違い、吹っ切れたように笑っていた。
「迎えにきてくれてありがとう」
「あぁ。こちらこそ俺を選んでくれて嬉しかった。ありがとうな」
そっと腕を引かれてギュッと抱きしめられる。
その彼の背中に手を回して温もりを感じた。
〜〜
それからしばらく二人で並んで歩き、人気が少ない公園のベンチに腰かけ、夜の空を眺めていた。
「A、これからどうするんだ」
その質問に対して 分からない と答えた。すると、
「俺はこの社会を壊すためヴィラン連合に居続ける」
ふいに荼毘がこちらに向く。同じように彼の方を向くと蒼い瞳と目があった。
「ついてこいなんて言わない。ついて来るというのは死柄木の元へ返すことになるからだ」
「…」
「だからお前は遠いところへ逃げてほしい。死柄木が手が届かない遠いところへ」
「？弔は私を見捨てたんじゃ…」
「いや、アイツはお前を諦めちゃいねぇーよ。確かに一度見捨てたかもしれねぇーがそれはアイツの計画のうちだ」
「計画？」
「お前を見捨てたあともう一度取り戻すと言っていた。その話を俺は盗み聞き、死柄木がお前の元へといく前に俺がお前を迎えにきたわけだ」
その話を聞いてゾッとした。
きっと弔が私を迎えにきてたら私はまた昔の自分に戻っていたに違いないのだから。
「だが、お前がヒーロー側にいないことはすぐにアイツの耳に届き、きっと血眼でお前を探すだろう」
ガッと掴まれる肩、そして真剣な眼差しで
「だからこそ俺はお前には遠く逃げてほしいんだ。そして、その個性で自分がしたいことをやればいい」
そう言って寂しそうに微笑む彼は、私にとって誰よりも優しい存在で…
けれど、ひとつ彼の話の中で疑問に思ったこと。
「荼毘が私を連れ去ったことも必然的に弔の耳に届くんじゃ…」
私の言葉にハッとし気付いた彼。
「？！あぁ、言われてみればそうだよな…」
それは考えてなかったなと困ったように頭に手を置き
「なら俺もヴィラン連合には戻れねぇーな」
と呟いた。
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Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» わわ、緑の白猫様！今作でもコメントありがとうございます！ヒロアカの小説まで読んでいただけて感激です😭かなり納得した終わり方を書けたつもりなので貴方様からの最高の褒め言葉をいただけてとても嬉しく思います！本当にありがとうございました！ (2022年2月7日 0時) (
レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - はっぴーえんどだ……。私が知っている作者様の中の作品で初めてみたはっぴーえんどだ……! 主人公が初めからちょっと可笑しいのがまた新しく感じ、最終的にヒーロー側につくとはまた違う、正しくはないかもしれないが幸せな道を選んだのが最高でした! (2022年2月7日 0時) (レス) @page49 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - あゆりさん» コメントありがとうございます！1番好きだなんて…最高の褒め言葉です！死柄木くんの沼によりハマってしまいましたか。よっし、この調子だ()本当にこの作品を読んでくださりありがとうございました！今後とも応援よろしくお願いします！ (2020年5月16日 12時) (レス) id: 47426ab442 (このIDを非表示/違反報告)
あゆり(プロフ) - 今まで読んできた作品の中で1番好きです！！Omisoさんのおかげで、もっと死柄木くんの沼にハマりました()これからも応援しています！ (2020年5月16日 11時) (レス) id: ce98ce751c (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます！！本当に嬉しすぎるお言葉に喜びで胸がいっぱいです！また貴方様を楽しませる作品を作れたらいいなと思います！！今後とも応援の方よろしくお願いします！！ (2020年4月3日 7時) (レス) id: 47426ab442 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Omiso
| 作成日時：2020年2月10日 22時
