【WT】花天月地Ⅱ【Smile】 (ページ24)

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体育館のシートは既に敷き終わったらしいので、いよいよ私たちの仕事であるパイプ椅子を並べる作業に取り掛かる。
どうやらメジャーで等間隔に椅子を並べるみたいだが、態々そんな事する必要なんてあるのだろうか？

『別に測って等間隔にする必要ないと思うんだけど』

rn「分かる〜！メジャーの係可哀想だなー」

sm「どうせそんな事全く考えてないでしょ」

rn「あら、気づかれた」

sm「俺は朝早く学校来てこのシート敷いてメジャーで測ってやってんだよ」

俺の苦労も知らないで、なんてブツブツと文句を言いながら笑琉は椅子の位置を教えていく。

『いつにも増して不機嫌だね』

sm「俺がいつも不機嫌だって言ってんの？」

『常に不機嫌って訳では無いと思うけど。なんだかんだ優しいし』

sm「・・・そうかよ」

思わず本音を口に出してしまったが本人は多分気にもとめていないだろう。
しかし、何故か彼は顔を赤くしていた。

『・・・顔赤いけど怒ってる？それとも体調悪い？』

sm「さぁ？」

彼は答えになっていない回答を返して別の所に行ってしまった。
やっぱり、笑琉ってよく分からない。
まぁ、そんなよく分からない彼を好きになった私もよく分からないのかもしれない。

.

「やっと準備終わったぁー！！」

と騒いでいる私の親友、凛。
恥ずかしいからやめて。

凛は「早く帰ろ！」と私の手を引くが私はやりたい事が残っている。

『私やりたい事があるんだけど』

「あぁ、お花かぁ。私も！」

『先帰ってていいよ』

「私Aと居たいから」

『ま、勝手に』

皆が下校した所を見計らって、私たちは花壇に向かう。
花壇には沢山の花が咲いており、如何にも春を思わせるような感じがしてくる。

「Aの植えたクロッカスとか桜草とかアネモネが綺麗に咲いてる！やっぱりAの手入れ丁寧だもんね。道理でこんなに綺麗な訳よ」

『ありがとう、凛の花も綺麗だよ』

花壇の近くに座って、花を眺めながら話をする。

『まさか適当に選んだ種買って植えた花が私の告白も為に使われるなんて私も花も思っていないでしょうね』

「植えたの笑琉を好きになる前でしょ？」

『そりゃそうよ。・・・なんか、勿体ないな』

「一本ずつなら大丈夫だって」

『・・・ごめんね』

そして私は三輪の花を切る。
茎を折らない様、丁寧に。
・・・私の想いも、雑草みたいに簡単に折れないといいんだけどなぁ。