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空白が三十二。 ページ33

また近付く。早足で近付いて行くうちに、段々とそれがはっきりと見えてくる。




「敦...?」




どこかで見た光景。どこかで。何処かで。過去(ここ)ではないどこかで見た。

過去(ここ)では無い筈、なのに。


後ろをばっと振り返る。そこには、




黒虎がいた。




「っ!!」




目が覚めた時、Aは自分が何を見たのかはっきり覚えていた。

その光景が、更にAの執念を育てた。




♢♢♢♢♢




次の日、探偵社内。




「おい敦!太宰もだ、これを聴け!」




朝早くにて、国木田が二人の姿を確認して焦ったように走ってきた。

珍しく焦燥していた国木田に、二人は身構える。国木田が出したのは小さな録音機だった。


国木田が二人の顔を一瞥し、二人が頷く。それを見て、ゆっくりと再生釦を押した。




『明日乗り込もう』


『は、明日!?ただでさえポートマフィアに人数削られてんだ、勝ち目がないだろ!』


『私がカバーする』




録られていたのは、それだけだった。

明日決行。それが昨日の事だ。詰まるところ、今日乗り込まれるという事は口に出さずとも判っていた。

空白が三十三。→←空白が三十一。



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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2019年9月8日 13時

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