15【洞窟の外の。3】 ページ16
三人組が、洞窟の中に入っていった後。
リムルさんが、ぽよぽよと錆びた門を通り抜ける。
外に出てすぐ、リムルさんと鉢合わせないように、大分時間を空けてから、そっと、門を潜る。
ふわり。
風が思い切り私にぶつかって、身につけている服と思われる布の裾が、舞い上がる。
少し汚れてはいるけれど、元は真っ白だったであろう、ワンピースみたいな服を、私は着ていた。
眩しい、太陽の光に目が眩む。少し目が痛いが、きっとすぐ慣れるだろう。
革靴も、少し汚れているのが目に見えた。
…あ、脚…怪我してたのに治ってる!
だから途中から痛みを感じなかったのか…。
《エクストラスキル『超速再生』によって、
わぁ。すごい。私無敵じゃん。
あ、あの時使えるようになったスキルが、役立ってくれたのか。魔物との遭遇率といい、すごい豪運だな、私。
洞窟とは違った、じめじめとしていない、爽やかなそよ風と空気。
私はんーと伸びをすると、リムルさんが居ないことをちゃんと確かめて、門扉から離れる。
さわさわ、と、木々が揺れる。
ふと、嫌な気配がした。
少し離れたところから、何か、獣みたいな息遣いが聞こえた気がする。
私は、ゆったりとした動作で、傍にあった岩影に身を寄せる。
…私って、結構岩影に助けられてるよね、うん。
あたりは、鬱蒼とした森だ。
洞窟の門扉から、左の森に真っ直ぐに入っていった辺りだろうか。リムルさんが「あめんぼあかいなあいうえおー!」と、声に出して発声練習をしているのが響いてくる。
そうそう、リムルさん。洞窟で魔物から得たスキルの中に、声を出すために使えるスキルがあったみたいで、洞窟で過ごした大半を発声練習に費やしていた。
ガサガサッ
今度は、あの、獣みたいな息遣いが聞こえた方向。門扉から見て右側の森だ。
ガサッと音を立てて、狼のような獣が何体か、姿を現した。
少しの間、スンスンと鼻を動かすと、リムルさんの声がする方に駆けて行った。
《あの魔物は、「黒狼」と言います。スライムのリムルは暴風竜ヴェルドラの気配が消失した今現在、この森の中で1番の強者のため、追われているものと思われます。》
マジか…リムルさん、ご愁傷さまです。
初めはリムルさんに声をかけようとしていたけれど、やめて正解だったな。
あのぷよぷよには、やっぱり一度だけ、一度だけツンツンしてみたかった…かも、だけれど。
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ミナ(プロフ) - 夢見る雀さん» ありがとうございます(´;ω;`)そう言っていただけるなんて感激です!頑張ります!!(´TωT`) (2019年10月14日 21時) (レス) id: 13cdda6338 (このIDを非表示/違反報告)
夢見る雀(プロフ) - この小説めちゃくちゃ好きです!更新頑張ってください! (2019年9月27日 5時) (レス) id: fa272da316 (このIDを非表示/違反報告)
ミナ(プロフ) - 3626 5503 63さん» ありがとうございます!(´;ω;`)ゆったり更新ですが、がんばります! (2019年8月21日 1時) (レス) id: 13cdda6338 (このIDを非表示/違反報告)
ミナ(プロフ) - かぐやさん» そうですよね!アニメ2期も楽しみです(*^^*) (2019年8月21日 1時) (レス) id: 13cdda6338 (このIDを非表示/違反報告)
3626 5503 63 - 更新大変かもしれないけど 頑張って下さい! (2019年8月13日 10時) (レス) id: 878066c85e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミナ | 作成日時:2019年6月29日 0時