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いつもそんなに大声を出さない良太郎が
大声を出して侑斗の言葉を遮るように
愛理に戻るよう強く言い聞かせる。
A「姉さん、お願い私たちちょっと話したいことがあるの…!」
今まで黙っていたAが
良太郎とは違いいつもの調子で愛理に頼み込んだ。
申し訳なさそうに眉を下げるAの顔を見て
愛理は…
愛理「そう…喧嘩もほどほどにね、今度3人でコーヒー飲みにいらっしゃい」
納得したのか
店に戻ってくれるようだ。
愛理が戻っていくのを見届けると
先に口を開いたのは
良太郎「どうして姉さんに」
良太郎。
いつもの口調ではなく
はっきりとしたやや強めの口調で聞く。
侑斗「問題あるか?お前も過去にいるアイツと顔を合わせたんだし」
侑斗が言うアイツ…。
それは良太郎が過去で見た桜井さんのこと。
侑斗「もうコソコソしなくていいと思ったしな」
侑斗「どうせなら自分の婚約者見ときたいだろ?」
侑斗が愛理に接近したのは
未来の婚約者である彼女のことを一目見るためだった。
良太郎「自分のって…」
侑斗「けど、お前らと同じだな」
Aはただ黙って侑斗のことを見ていた。
侑斗「何も考えてないっていうか、こういうのおめでたいっていうんだっけ」
A「ちょっと、その言い方はさすがにないんじゃないのいきなり現れといて」
良太郎「君……ほんとになんなの!?」
姉である愛理のことを軽く侮辱され
良太郎もAも黙っていられるわけがない。
普段あまり怒らない良太郎も声を大きくしている。
侑斗「だから”桜井侑斗”って言ったろ?」
良太郎「悪いけど信じられない、僕達のしってる桜井さんは…」
侑斗「どうでもいいんだよ、そんなことはお前は今まで通り適当にわーわー言って戦ってろよ」
ああ言えばこう言う
喋れば喋るほど空気が悪くなっていく。
この侑斗と名乗る青年の目的を探ろうとしても、探れない。
なんのためにここまで関わるのか
どうでもいいなら1度忠告して放っておけばいいのに─。
良太郎「そういうわけにはいかない」
いくら侑斗がきつい言葉を放とうとも
良太郎は折れなかった。
自分が家族も同然のように大切にしていた人の秘密を、行方を知るような素振りを見せているのがこの目の前にいる侑斗だ。
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作者名:ちあ | 作成日時:2019年11月26日 23時